欠落を編む


5 くりかえすにちじょう

「 葉月! 」

元気よく親友の名前を呼ぶ

「 まってたよ。ちと」
「 ちとちゃんやっほ」
「 おそいぞこのこの〜」

みんなあたしのことを見て笑顔になってくれる
あたしもみんなに会えてすごいうれしい
あ、そうだ

「 葉月、お母さんがこれ渡してって」

あたしは葉月に千歳飴柄の巾着を渡す
葉月の顔は驚きや悲しみを含み
察したような目をして素直に受け取った
あたしはその変化に気づかず柚乃達と話していた

「 ありがとうね 」

素っ気ない返事が返ってきた
準備はOKだねと声をかけるように

「じゃぁごはんたべいこ〜」

██の声があたし達の足を動かしてくれた
ぺぺらんに向かう道では
学校の話とか恋バナの話とか、ご飯何食べる?とか
簡単な世間話をしてたらすぐ着いちゃった

ぺぺらんに着く。
さすが最近出来たファミレスって感じで
綺麗な内装にリーズナブルなお値段の食事。
人がたくさんいたけど
特に待つこともなく時間は素早く走り去っていった

「葉月なににする?」
「ねぇ柚乃ー!くちについてるよ」
「美恋1口ちょーだい」
「あ!千歳!それ私のじゃんもう!」

わいわいと楽しい時間を過ごす。
ぺぺらんは運ばれてくるのも早いらしく
頼んで10分もせずにご飯が届いた
あたし達はお喋りしながら
ご飯を食べる
あたしはハンバーグで
葉■月は、パスタ?
■恋はどりあだったかな
柚█はえと、すーぷをのんでた
■■乃にはスープだけで足りるのかなって思ったから
ハンバーグをおすそ分けした
ご飯を食べ、会計を済ませぺぺらんをでる

次は森の中をさまよってるような
不思議な感覚がするカフェにいった。
さすが森がモチーフのカフェだ。綺麗な葉の香りがした

「やっぱカフェラテしか勝たん」
カフェラテに最近ハマっている
あたしがずっと言ってる言葉

そしたら
「 ちとちゃんの好きな子がカフェラテ飲める子好きって言ったから飲んでるだけでしょ」

ふふっと笑いながら柚乃がそんな冗談言うんだから

「 ちがうもん 」 って反論したら

葉月に「 ちとせはココアが好きだもんね 」 なんて
バカにされた 。葉月だってココア好きじゃん!

美恋は大爆笑とまでは行かないけど
口を押さえて震えている。
見てないで助けてよって軽口叩いたら
『 私は葉月の意見に同意だから 』 って言われた
解せぬ

しばらく談笑しながら各自ラテやスイーツを食べている
甘いものに囲まれた幸せな時間

あたしが琥珀色のカフェラテに口を付けると

葉月が「 あ、ちとこれあげる」

とお菓子を差し出してきた

「抹茶プリン?」

「うん、甘くて美味しいよ」

「 葉月食べないの? 」

「 もうおなかいっぱいだから大丈夫 」

葉月がおなかいっぱいになるなんて珍しい
よく、少食な柚乃のご飯を美恋と一緒に頬張る彼女を見ているあたしにとっては珍しい光景だった。
そして、プリンを差し出す葉月の顔の異変に
さすがのあたしでも気づいた。
顔が少し歪んでいた、輪郭を滲ませ目を伏せたがってた
そんな気づきはきっと気の所為
だって葉月があたしのことを傷つけるわけがない
そう思って手を伸ばした

「 じゃぁいただきます 」

傍らで見ていた二人は寂しそうな目で見ていた。
そんなにプリンが食べたいなら言えばいいのに
そう思いながらプリンを口に運んだ
ほろ苦いけど、甘い
今日たべたベーグルと似たような味がする
そのまま思ったことを口に出す


「 美味しいね 」

「 よかった 」

葉月達は安心したような目をしてた。

カフェを出てからもうあっという間だった
時計の針が走り出したように時間は過ぎていった。


「ファッションセンターきたぜ!」
「目の前にかわいい服の海が広がっててすき」
「突然の告白やめて」

葉月と美恋が漫才をし始めたり

「えこれ可愛いすぎる」
「絶対みこににあう 」
「ちとちゃんはこれがにあいそう」

みんなで似合う服決めたり
心の中にじゅわっと温かさが広がった

けど、言葉が出てこなかった瞬間があった

「 ねぇ ゆ......」
「 ゆ、ゆ、 」
名前が瞬時に思い浮かばなかった

「 柚乃 」

美恋が独り言のように教えてくれた
天真爛漫でお転婆に見える美恋
でもそんな美恋の根は気を使えて
しっかりと周りを見ることができる子。
そんな美恋に誰に向けてか分からないほど
滲んだ声で感謝を言う。

「ありがと」

美恋はにこっと笑うだけ


「柚乃!」
「 ちとちゃん、どうしたの? 」

「 柚乃にはこれが似合いそう 」
「 ほんとに?じゃぁ買っちゃおうかな」


柚乃は嬉しそうに服を手に取ってくれた。
あーあ大切な親友の名前を忘れるなんて
忘れん坊にも度があるよあたし
自分に叱って反省をする
今日の朝もあったんだから、早いとこ直さなきゃ


反省を抱え、ショッピングモールをでる

もう帰宅の時。
ほんとに今日は太陽の進みが早かったようだ。

「あー楽しかった」

そう子供らしく笑う美恋に

「いっぱい買ったね」

お姉さんみたいな柚乃

「またあそぼうね 」

また今度を約束してくれる葉月

なんだか心がぎゅっとなる
おかしいなあたし
最近ずっとみんなが恋しい
長い時間一緒に過ごしてきたはずなのに
ばかみたいにすくない思い出しかない
それはちょっと、悲しいな

あたしが1人心の中で悲しんでると、葉月が

千歳(ちとせ)ん家で解散でいい?」

って言ってくれた

「もちろん逆に送ってくれるのありがたい」

みんなと長くいられるなら幸せだ。

「ちとちゃんは可愛いからね」
「もう冗談いっちゃって」

ほんと柚乃は冗談が上手いんだから

あたしたちを急かすように
夕暮れはだんだんと沈んで行った


「じゃぁまたね」

惜しむように声をかける葉月

「またね」

安心する優しい声の柚乃

「ばばーい」

子供らしいけどどこか力強い美恋

「また今度」
あたしの声を最後に
軽い挨拶を交わし、あたし達は家に帰った

がちゃ、
ドアノブを回す音には行きとは違い
楽しさはないけど安心がこもってた

「 ただいま 帰ってきたよ」

「 おかえりなさい 」

優しい声が重なって見えた
今日は楽しい一日かな
そう思ったのがバカみたいだ