欠落を編む


4 くりかえす日じょう

「 しゃ、宿題おわり 」

山ほどあった課題は半分程おわり
あとは夜でも終わる量まで減った
るんるんだった気分は今や最高潮
今すぐ外に駆け出してステップを踏みたいくらいだ
何をしようかと考えていると
待ってましたと言わんばかりにタイミングがよくスマホが鳴り出した。画面を見ると

「 葉月だ 」

特にやることがなく暇だったので
ちょうどいい。
沢山話しつくしてやろうと期待を胸に電話にでる

「 もしもし どうした? 」

『 あ、ちと? なんかみこりんとゆののんさ
早く用事終わったらしくてさー、
ちとが良ければだけどもうお家いってもよさそ?
『 うちらもいるよーん 』
『ちょっとみこ静かにしなさい』
『 ごめんさーい 』
『 ちょちとの声が聞こえないっつーの !』 』

電話越しに3人の話し声が聞こえる
多分み美恋と柚乃がいるんだと思う
なんだみんながもういるなら答えはもちろん

「 いいよ 準備して待ってるね 」

『 やった さすがちと!今からいくね』

「 うん待ってる」

気分が上がったまま葉月達と遊ぶことになった
なんだか久しぶりに遊ぶような気がして
浮かれてしまう

「 そうだ、お母さんに髪を結んでもらおう 」

お母さんに髪を結んでもらうのは小学生ぶりだ
でも今日はなんだか特別な気がして
急いで服を着がえ財布やバックを準備し
はやく葉月達と会いたい
その気持ちでまた階段をリズミカルに下る

「 おかあさん 髪結んで欲しい 」

リビングに居たお母さんに子供みたいにせがむ
お母さんは洗濯物を畳んでいたみたいだ

「 えぇいいわよ 」

ぱたぱたと畳んでいた手を止める
どんな髪型がいい?と聞かれたから

「 このね、流行ってる髪型がいいの」

と答えた。
ふわふわとした見た目が可愛いのに簡単に結わえるのであたしのなかで今1番好きな髪型。

「 わかったわちょっとまっててね」

お母さんはテキパキ手を動かし
まるであたしに魔法をかけてくれたみたいに
あたしが可愛く見えた

「わぁ、めちゃかわいい 」

自画自賛してると

「 似合ってるよ」

とお母さんがほめてくれる

「 でしょ 」

なんだか嬉しくて心があったかくて
自然と笑顔になる

「 よし、じゃぁ葉月たちと遊びに行ってくるね」

服は着替え終わってるので
葉月たちの所へ向かおうと
靴を履いていると

「 ちょっとまって 」

お母さんに話しかけられた
何かあったっけと今すぐにでも飛び出したい気持ちを
抑えてお母さんの話を聞く

「どうした?」

「これ、葉月ちゃんに渡してくれる?」

渡されたのは小さな巾着
千歳飴がまばらに書かれている
少し寄れた巾着。
右下に宮崎千歳とあたしの名前が縫われている。
あ、見た事ある、この巾着。
この巾着はあたしが生まれた時、あたしと同じ名前の柄だからってお父さんが買ってきたんだよな
お母さん、相当気に入ってたからこの巾着を他の人に渡してっていうのは珍しい。
まぁお母さんの事だ他の巾着が見つからなかったんだろう

疑問はあったが納得したので
そのまま返事する

「わかった、渡しとくね」

「 じゃ、いってきます」

「 行ってらっしゃい 気をつけてね」

お母さんのあたたかい声が耳に届く

「はーい」

と軽い返事をして葉月の所へ走ってく

ガチャ
ドアノブを捻る音には楽しさが宿っていた