欠落を編む


3 くりかえす日常


「 はーお腹いっぱい 」

結局朝ごはんはヘルパーさんが作ったらしく
パンだった。
ごはんが食べれなくてざんねん
けどあたしを見たお母さんがこっそり
これたべなさいって
ベーグルの欠片くれたし満足。
でもあのベーグル、ちょっと苦かった
抹茶でも練り込まれてるのかな?
苦かったけど、甘みと苦味のバランスが絶妙で美味しかったから、今度買ってきてもらおう

ベーグル、どこで売っているんだろうと
頭の片隅に入れながら12階段を登っていると
今日遊ぶことを思い出した。
そうだ、おかあさんに遊ぶこと伝えなきゃ

「 おかあー? あたし今日、葉月たちと遊ぶから 」

と大声で呼びかければ

「 はーい 楽しんできてね 」

お母さんの滲み出る優しさが篭った声がかえってくる
今はなんだか気分がいい。
せっかくなら今日行くカフェで
お母さん用のベーグルでも買ってこようと
ふわふわと葉月たちのことを考えていた。

10分、20分たったくらいだろうか
特にやることもせずリビングでダラダラしていたとき
ビビッと雷が落ちてきたみたいに思い出した。
課題だ。
あの鬼担任2週間もない春休みに
名前の通り鬼の量の宿題を出してきたのを思い出した。

「 やばいこのままじゃ終わんない 」

忘れたかったことを思い出してしまい
ソファから飛び起きた。
宿題でもしてこようかな、でもめんどくさいな
でもやんなきゃ
鬼に金棒と言わんばかりの怒声が降り掛かってくる。
それは困るし存分に遊びたい。
よし、先に鬼担任の宿題を終わらせてしまおう
そして葉月達に自慢しよう
その思いであたしが階段を駆け上がると

ざぁざぁと地面を鳴らして降っていた雨は
既に止んでいた

神様があたしたちに微笑んだようだ。