ヨクバリなココロなの

 放課後、日和は詩織に昼休みに目撃した光景のことを話した。

「何それ、絶対無理矢理絡まれてるだけじゃないの?」

「でも……最近、詩織とのことで千歳先輩と居る時間を削ってた所もあったからそれで寂しくなって……とかありそうじゃない?」

「そんなこと無いでしょ、信じてあげなよ?日和が惚れた人なんだから大丈夫だって」

「そうだね……証拠もある訳じゃないし」

「そうそう。あ、ウチ今日は用事あるからここまでで」

「分かった、じゃまた明日ね」

「うん、また明日ー」

 手を振りながら曲がり角へと去って行く詩織を見送ってから、日和も自宅へ向けて歩き出した。







『千歳先輩、ちょっとだけ話できませんか?』

『いいよ。どうしたの?』

『日和から昼休みに女の子とイチャイチャしてたって聞いたので事実を確認する為に連絡しました』

『そっか、あれを見られてたんだ。あれはクラスメイトで入学当初から仲良い人なんだ。でも、日和ちゃんを不安にさせてたんだね』

『はい、今後は日和を不安にさせるようなことはしないでくださいね?』

『分かったよ、ごめんね。詩織ちゃん教えてくれてありがとう』

「よっし!今日はアイスでも買って帰ろーっと!」

 こうして詩織は清々しい気持ちでコンビニへと歩き出したのだった。







「日和ちゃん、ちょっとだけ良いかな?」

 学校から帰宅した千歳は早速、日和の部屋の扉を叩く。

 だが、日和からの返事はない。

 もう一度扉を叩くと、日和は言った。

「ごめんなさい、今は……何も聞きたくないです。気持ちの整理をさせてください」

 震える声で答える日和を不安から一刻も早く救いたい。だが、日和からすれば自分との時間よりその子との時間を優先したと思われている。

 そんな状態じゃ信じて貰えないのかもしれない。

 そんな思考に陥った千歳は、日和の部屋から一旦立ち去り時間が経つのを待つことにした。







『日和、千歳先輩から何かアクションあった?』

 夜、詩織からのメールを知らせる通知が届いた。

『話しかけられたけど、断った』

『なんで断ったの?』

『だって、別れ話になったら怖いじゃん』

『そんなことないって』

『あるかもしれないじゃん。現に詩織だって私のこと裏切ったじゃん!』

 こんなこと書くべきじゃない、頭では分かってても指を止められなかった。

 詩織にメールを送信したあと、日和はベットに仰向けに倒れる。

 天井を見上げながら詩織からの返事を待った。







 詩織から連絡が来たのは、夜の11時で日和はベットに潜り込みながらメールを開いた。

『ウチも千歳先輩に惚れた人だから言えることだけど、千歳先輩はそこまで不誠実な人じゃないと思う。今までだって日和のことを第一に考えて日和に寄り添ってくれてたんじゃないの?』

 詩織からの返事で日和は徐々に不安が消え去っていくのを実感していた。

 そうだ詩織との関係のことも千歳先輩は許してくれた、その他にもたくさん寄り添ってくれてたのになんで信じて寄り添ってあげられなかったんだろう。

 日和は後悔に苛まれながらも、今日はもう遅いかなと自重して千歳への謝罪は明日することにして、まずは詩織への感謝のメールを送ったのだった。