ヨクバリなココロなの

 千歳と付き合い始めてから早一週間

 幸せになれると思っていたのに、いざ千歳と付き合い始めると確かに幸せではあるけれど、なんだか物足りないように感じていた。

「なんでなんだろ……」

「ん?どうしたの?」

 純粋な眼差しで聞いて来る千歳を見て、現実に帰って来た日和は千歳の話を適当に躱し、その場は誤魔化す。

 だが、当然千歳が見逃してくれることはなく。

「怪しい、どうしたの?」

「……実は、千歳先輩と付き合い始めて確かに幸せではあるんです。でも、なんだか物足りなくて……」

「やっぱり、詩織ちゃんのこと?」

 日和が頷くと、千歳はバツが悪そうに俯く

「でも、こればかりは仕方ないことですもん……それより!今日、試合前で遅くなるって言ってたので」

 鞄から御守りと、スポーツドリンクを取り出して、千歳に渡す。

「それじゃ、また家で……」

「待って」

 朝練の時間帯だから部活をしている生徒しか居ないとはいえ、いつ誰に見られてもおかしくないこの状況に日和は一刻も早く立ち去りたかった。

「はい……?」

「ありがとう、日和ちゃん」

 千歳はそう言いながら、日和に近づき耳打ちで囁いた。

「もしかして、隠したい?」

「えっと……どういう」

「僕と日和ちゃんの関係誰にも見られたくないって感じなのかなーって思って……もし、そうだったらごめん……僕は日和ちゃんのこと自慢していきたい」

「……!千歳先輩……隠したいって訳じゃないんです。でも、なんだろ……照れちゃう、から……出来るならひっそりしていたいです」

「わかった。もし、広がっちゃったら僕が日和ちゃん悪く言う奴から守るから安心して」

「分かりました」







 放課後、一人きりの部屋で日和は棚に置いてある詩織とのツーショット写真を見る。

 そこに写る日和は笑顔で詩織もとびっきりの笑顔をカメラに向けていた。

「詩織……」

 そこで日和はここ最近の消失感のような違和感の正体に気付けた気がした。

「なんで……詩織に執着しちゃってるんだろ……」