ヨクバリなココロなの

 そして迎えた翌朝……

 もしかして告白の返事されるのかなという淡い期待も沸き上がり、眠れないまま日和は朝を迎えてしまった。

 早急に身支度を済ませてから、日和はリビングへと向かう。

「おはよう、日和ちゃん」

「おはようございます、千歳先輩」

 対面しないように遅めに朝食を摂ろうとしたが、千歳も同じ考えだったようでリビングで鉢合わせた。

「……あの、日和ちゃん」

「はい?」

「ううん、なんでもない。じゃ、またあとで」

 何かを言いかけた千歳はそのまま言葉を飲み込み、笑顔で手を振りながら踵を返して部屋へと帰っていった。

「はい、またあとで」

 こうして、千歳が部屋に行くのを見送ってから食パンを食べて日和も部屋に入った。







 出発する時刻になり、部屋を出ると千歳と鉢合わせる。

「じゃ、行こうか」

「はい!」

 思わず勢いよく返事をしてしまったせいで辺りに響いた日和の声に千歳は失笑しながら手を差し出してエスコートしてくれた。








 詩織と合流すると千歳は日和と詩織の正面に立ち、ふたりの顔を見つめたまま言った。

「ふたりとも今日は突然誘ってごめんね。そして、まずは日和ちゃん……告白の返事遅くなってごめんね」

「いえ……」

「日和ちゃん、僕は日和ちゃんのことが好きなんだ……僕と付き合ってください!」

「……はい!よろしくお願いしますっ!」

 お辞儀をして、日和に頭を下げる千歳に日和は千歳を抱きしめて千歳の気持ちに応えた。

 そして、千歳が日和から離れて詩織に向き直る。

「そして、詩織ちゃん……僕は、詩織ちゃんに好意を持たれて嬉しかった。でも、僕には詩織ちゃんの気持ちには応えられない、ごめんね……」

「えっと、それはなんで……ですか?日和のことが好きだから?」

「うん」

「そっか……ウチ、人を好きになったこととかなかったから、良い経験になりました……ありがとうございます。でも、ウチはそこで諦める程良い人じゃないし、日和のことは妬んでるし、正直憎い。もう、ふたりのことは見たくないし、聞きたくもない……!だから、さようならですね。日和、千歳先輩」

「まっ……詩織!」

 逃げるように立ち去る詩織を呼び止めようとするも、詩織は日和を無視して走り去って行った。

「……ごめんね、日和ちゃん。僕のせいで」

 謝る千歳の手を握って、日和は千歳に言い放つ。

「千歳先輩は、悪くないです!これは、あたしと詩織の問題です」

「でも、入学式のあと僕が日和ちゃんに会いに行かなければこんなことには……」

「どのみち、すぐに千歳先輩との関係に感づいて問い詰めて来てたと思います」
 
「そっか……」

「はい。それにあの子は情報通ですし、どのみち人脈も広いので隠してもきっと直ぐにバレてますよ」