ヨクバリなココロなの

 あのお昼休みの一件から日和の疑念はより確かなものに移り変わった。

 あの日以来、詩織は千歳に近付き、着実に仲を深めている。

 あの時、詩織が階段から落ちたのはわざとで千歳に守って貰ってより、近づこうとしているのだろう。

 一度は優位に立てていたのに再び不利な立ち位置になりそうな状況で日和は不安にならずには居られなかった。







「ねえ、日和ちゃん」

「なんですか?」

 とある日の休日、日和と千歳以外誰も居ない日に千歳が日和に話しかけてきた。

「なんで最近、僕のことを避けてるの?」

「避けてないですよ」

「避けてるでしょ」

「避けてないですって」

「じゃあ、最近日和ちゃんを学校で見かけないのはどうして?」

「よ、予定が詰め込んでて……」

「嘘。詩織ちゃんは日和ちゃんが忙しくしてたら手伝ってくれる人でしょ?なのになんで詩織ちゃんは僕の所に来てるの?」

「それは……」

「僕、迷惑だったかな?」

「え?」

「だって、学校でも家でも避けられてたらさ、僕のせいで嫌なこととかあったんじゃとか思うでしょ……」

「そんなことないです!ただ……詩織と千歳先輩が最近仲良いことにヤキモチと言いますか……なんと言いますか……」

「そっか……僕のことを嫌いになったとかじゃないんだ……」

 心底安堵したのか千歳はハーっと溜息をつき、日和を抱きしめてから、ポツポツと呟き始めた。

「僕ね、ここ数ヶ月日和ちゃん達と関わって来たことで気付いたんだ……僕、日和ちゃんのことが好きなんだって」

「え……」

「日和ちゃんは?僕のこと好き?」

「す……好きです!ずっと、初めて出会った瞬間から!」

「初めて出会った瞬間から……?」

「はい……私、」





 こうして、日和は千歳に促されて本音を包み隠さずに話した。

「初めて出会った瞬間からだったんだ……」

「はい」

「じゃあ、詩織ちゃんと体育大会でギクシャクしてたのも」

「はい……詩織に羨ましがられてただけなんだと思います」

「そっか……ずっと不思議だったんだ、詩織ちゃん凄い良い子なのになんであの時、日和ちゃんを貶めるようなことをしたんだろうって……」

「そう、だったんですね」

「うん、だから明日……遅くなったけど、ふたりに僕の応えを聞いて欲しいんだ。良いかな?」

「はい、私は大丈夫です」

「わかった、じゃあ詩織ちゃんには僕から連絡して落ち合う時間を決めよう」

「わかりました」

 こうして、千歳からの急な提案で詩織と千歳と遊ぶことになった日和は部屋の中でクローゼットを開けて明日の服を決めていると、千歳からのメールで明日の待ち合わせ時間を知らされた。