比翼連理—たとえ明日が来なくても、あなたを愛したことだけは消えない—

六月。

梅雨入り前の放課後。

二人はいつもの公園へ立ち寄った。
子どもたちが帰った後の静かな公園。
ブランコが風で揺れている。
陽菜は空いているブランコへ座った。

「ねぇ水瀬くん」

「ん?」

「もしさ」

「うん」

「来年もこうして一緒にいたら、何したい?」

蒼は少し考えた。
そして静かに答える。

「桜を見る」

陽菜は目を丸くした。

「それだけ?」

「十分だろ」

「ふふっ」

笑いながらも胸が痛んだ。
来年。
その言葉が遠い。

自分に来年はあるのだろうか。

「約束しようか」

陽菜が言う。
蒼は首を傾げた。

「何を?」

「来年も一緒に桜を見ること」

蒼は少しだけ笑った。
それは初めて見る自然な笑顔だった。

「分かった」

そして手を差し出す。

「約束」

陽菜も小指を差し出した。
二人の指が絡む。
小さな約束。

けれどその瞬間、
陽菜の胸は幸せでいっぱいだった。
その時の二人はまだ知らなかった。

その約束が、
いつか二人を支える大切な言葉になることを。
そして、

その約束を守ることがどれほど難しいのかを——。