比翼連理—たとえ明日が来なくても、あなたを愛したことだけは消えない—

桜が咲いていた。

あの日と同じように。

風が吹くたび、花びらが舞う。

まるで時間だけが止まったような景色だった。

陽菜がいなくなってから三年が過ぎた。

高校は卒業した。
季節も何度も巡った。
街も少しずつ変わった。

けれど蒼だけは、どこかあの日のままだった。

毎年春になると、必ずここへ来る。

あの公園。
あの桜の木。
あの約束の場所。

「今年も咲いたよ」

誰もいない桜の下で呟く。

返事はない。

当然だった。

分かっている。

もう何度も。

それでも蒼は、毎年同じ言葉を口にしていた。

ポケットから一枚の写真を取り出す。

海で撮った写真。

並んで笑う二人。

陽菜の笑顔は、今でもあの日のまま残っていた。

写真の端は少し色褪せている。

何度も見返したから。

蒼は静かに目を閉じた。

忘れようとしたこともあった。
前を向こうともした。
陽菜が望んでいたことだから。

だけど。
できなかった。

好きだった。
どうしようもないほど。

今でも。

誰かを好きになろうとしても、
最後には陽菜の笑顔が浮かぶ。

誰かと歩いていても、
隣にいてほしい人は一人だけだった。

三年経っても。
五年経っても。
きっと十年経っても。

変わらない気がした。