比翼連理—たとえ明日が来なくても、あなたを愛したことだけは消えない—

蒼の手を握りながら。

愛する人の隣で。

桜に包まれながら。

陽菜の呼吸は少しずつ静かになっていく。

蒼はその手を離さなかった。

何度も名前を呼んだ。

「陽菜」

「陽菜」

「陽菜……」

返事はない。

けれど陽菜の顔は穏やかだった。

まるで眠っているみたいに。

桜の花びらが一枚、そっと陽菜の肩へ落ちる。

その姿は美しく、そして儚かった。

蒼は泣いた。

声を上げて泣いた。

初めて失いたくないと思った人を、失ってしまったから。

だけど。

その胸の奥には確かに残っていた。

陽菜との時間。
笑顔。
約束。
愛した記憶。
消えることのない想い。

二羽で空を飛ぶ比翼の鳥。

離れても繋がる連理の枝。

たとえ生と死が二人を分けても、心は離れない。

それこそが――

比翼連理

桜は静かに舞い続けていた。

そして、二人の物語は終わる。

けれど、二人の愛だけは終わらなかった。