比翼連理—たとえ明日が来なくても、あなたを愛したことだけは消えない—

四月。

桜が咲いた。

長い冬を越え、約束の春がやって来た。

病室の窓から見える桜は満開だった。
淡い桃色の花びらが風に揺れている。

陽菜はベッドの上からその景色を見つめた。

「咲いたね……」

小さく呟く。

約束の日。
蒼と交わした約束。
来年も一緒に桜を見る。

何度も思い出した言葉だった。

病室のドアが開く。

蒼だった。

少し息を切らしている。
きっと急いで来たのだろう。

「見たか?」

蒼は笑う。

「桜」

陽菜も笑った。

「見たよ」

二人はしばらく窓の外を眺める。

桜が綺麗だった。
本当に綺麗だった。

そして、その美しさが少しだけ悲しかった。

陽菜は自分の身体が限界に近いことを知っていた。

蒼もまた、何となく気付いていた。
だから二人とも、そのことには触れなかった。

触れてしまえば、終わりが現実になる気がしたから。