比翼連理—たとえ明日が来なくても、あなたを愛したことだけは消えない—

「私……病気なの」

蒼の呼吸が止まる。

「心臓の病気」

涙が止まらない。

「小さい頃からずっと」

「陽菜……」

「治らないかもしれないの」

その言葉が、
静かに空へ消えていく。

蒼は何も言えなかった。
頭が真っ白だった。
信じたくなかった。

だって陽菜はいつも笑っていた。
元気だった。
一緒に未来の話もした。
桜の約束もした。

なのに。

陽菜は泣きながら続ける。

「だから言えなかった」

「蒼と付き合うのも迷った」

「好きになっちゃいけないと思った」

「でも好きだったの」

涙が止まらない。

「ごめんね……」

蒼は一歩近づいた。

陽菜は目を閉じる。

嫌われるかもしれない。
重いと思われるかもしれない。
そう覚悟した。

だが次の瞬間。

蒼はそっと陽菜を抱きしめた。
優しく。
壊れ物を扱うように。

「謝るな」

低い声だった。
震えていた。

「一人で抱えるなよ」

陽菜の涙がさらに溢れる。

「怖かったんだろ」

「……うん」

「苦しかったんだろ」

「うん……」

蒼は陽菜の肩を抱く。

自分も泣きそうだった。
けれど泣かなかった。

代わりに誓った。
どれだけ時間が残っているか分からない。
未来がどうなるかも分からない。

それでも。

「俺は離れない」

陽菜が顔を上げる。
蒼の瞳は真っ直ぐだった。

「何があっても」

「ずっとそばにいる」

夕焼けの中。
陽菜は声を上げて泣いた。

悲しくて。
嬉しくて。
愛しくて。

二人はまだ知らない。

本当の試練は、ここから始まることを――。