君と僕の秘密~永久の鏡~

〇神社へ向かう道・夕暮れ
真道は大学を飛び出し、
夕暮れの街をただひたすら走っていた。

胸のざわつきは、もう“嫌な予感”なんかじゃない。

真道(……影の異常値……封印の弱まり……
 こんなタイミングで……
 あずさが……そこにいる可能性……高すぎる……)

考えれば考えるほど、胸の奥が冷えていく。

真道(……間に合え……
 頼むから……間に合ってくれ……)

足が勝手に速くなる。
息が荒くなるのに、止まらない。

〇神社・参道
石段の下に着いた瞬間、空気の重さが肌にまとわりついた。

真道(……影の気配……濃い……
 ここまで強いの、久しぶりだ……)

石段を駆け上がる。
胸のざわつきが、“あずさの名前”と結びついて離れない。

真道(……どうか……無事で……)

〇祠の前
夕暮れの境内が視界に入った瞬間、真道の呼吸が止まった。

祠の前に──
あずさが立っていた。

肩が揺れている。
胸を押さえている。
呼吸が浅い。

真道(……なんで……ここに……
 今日も来てたのか……影が……呼んでる……?)

祠の奥の影が、“引き寄せるように”揺れた。

あずさの視界がふっと暗くなる。

あずさ「……っ……やだ……」

身体が前に傾いた。

真道(──落ちる)

その瞬間。

〇真道、到着
「──あずさ!」

走り込んだ勢いのまま、真道はあずさの腕を掴み、
倒れかけた身体を抱きとめた。

腕の中で、あずさの呼吸が乱れている。

真道(……やっぱり……
 影が“流れ込んでる”……
 このままじゃ……持っていかれる……)

祠の奥の影が、“奪おうとするように”揺れた。

真道はあずさを支えたまま、影に向けて低く囁く。

「……離れろ。鏡は彼女のものじゃない」

声は静かだった。
けれど、祠の奥の影が一瞬だけ揺らぎ、奥へ退くように消えた。

真道(……退いた……でも……完全じゃない……
 封印が……本当に弱まってる……
 父さんの言った通りだ……)

あずさの呼吸が、腕の中で少しずつ整っていく。

あずさ「……せん……ぱい……?」

真道はその声に胸が締めつけられた。

真道(……よかった……
 もし……あと数分遅れてたら……
 本当に……連れていかれてた……)

「大丈夫だ。……もう離れた」

そう言いながらも、腕の力はすぐには抜けなかった。

夕暮れの風が吹き抜ける。
祠の奥で鈴がかすかに鳴った。

カラン……。

真道(……まだ終わってない……
 封印……どうする……
 あずさを……どう守る……)

あずさの震えが少し弱まったのを確認してから、
真道はゆっくりと支える手を緩めた。