〇神社の帰り道
夕暮れの残光が薄れていく。
あずさ、まだ胸の奥がざわついている。
あずさ(……さっきの、なんだったんだろう)
歩幅を自然に合わせてくれる真道。
真道は隣を歩きながら、横目であずさの様子を見ている。
真道「あずさ、歩ける?」
あずさ「……はい。大丈夫です」
少し間が空く。
真道「……さっきのは、“憑依”に近い状態だった」
あずさ「……ひょうい……?」
立ち止まるあずさ。
真道も足を止める。
真道「黒い影が、あずさに入り込もうとしてた」
あずさ「……っ」
胸がきゅっと縮む。
あずさ「私……おかしいんですよね。前から……急に泣いたり、怒りが流れ込んだり……」
真道「おかしくなんかない」
あずさ「でも……」
真道はゆっくりと手を伸ばし、
あずさの手首にそっと触れる。
あずさ「……っ」
真道「ここ。脈の流れが乱れてる。影が入りかけた時の特徴だ」
あずさ「そんな……私、普通じゃ……」
真道「違う。あずさは“飲まれやすい体質”なんだ」
あずさ「飲まれ……やすい……?」
真道「他人の感情や気配を受け取りやすい。境界が薄いんだ」
あずさは俯く。
あずさ「……ずっと、変だと思ってました。私だけ……おかしいって」
真道「おかしくない」
あずさ「……先輩……」
真道は手首に触れたまま、
指先でそっと“流れ”を整えるように押す。
真道「……ほら。少し軽くなったはずだ」
あずさ「……あ……ほんとだ……」
胸のざわつきが、すっと薄れていく。
真道は静かに息を吐く。
真道(……やっぱり、あのときの違和感は気のせいじゃなかったのか?)
──回想。
〇大学の教室・春
サークル新入生の自己紹介。
あずさ「……白杜あずさです」
真道「白杜……?」
あずさ「え?」
真道「いや、なんでもない」
──現在に戻る。
真道(あずさの名字は白杜……この反応……
白杜家の伝承が頭をよぎる……まさか……)
あずさ「先輩……?」
真道は静かに言う。
真道「あずさ。これは君のせいじゃない。
……あずさが悪いんじゃない」
あずさの目に涙が滲む。
あずさ「……ありがとうございます……」
真道は少しだけ目を伏せる。
あずさ「先輩……?」
真道「なんでもない。今日はもう休んで」
あずさ「……はい」
二人は再び歩き出す。
夜の気配が、静かに近づいていた。
夕暮れの残光が薄れていく。
あずさ、まだ胸の奥がざわついている。
あずさ(……さっきの、なんだったんだろう)
歩幅を自然に合わせてくれる真道。
真道は隣を歩きながら、横目であずさの様子を見ている。
真道「あずさ、歩ける?」
あずさ「……はい。大丈夫です」
少し間が空く。
真道「……さっきのは、“憑依”に近い状態だった」
あずさ「……ひょうい……?」
立ち止まるあずさ。
真道も足を止める。
真道「黒い影が、あずさに入り込もうとしてた」
あずさ「……っ」
胸がきゅっと縮む。
あずさ「私……おかしいんですよね。前から……急に泣いたり、怒りが流れ込んだり……」
真道「おかしくなんかない」
あずさ「でも……」
真道はゆっくりと手を伸ばし、
あずさの手首にそっと触れる。
あずさ「……っ」
真道「ここ。脈の流れが乱れてる。影が入りかけた時の特徴だ」
あずさ「そんな……私、普通じゃ……」
真道「違う。あずさは“飲まれやすい体質”なんだ」
あずさ「飲まれ……やすい……?」
真道「他人の感情や気配を受け取りやすい。境界が薄いんだ」
あずさは俯く。
あずさ「……ずっと、変だと思ってました。私だけ……おかしいって」
真道「おかしくない」
あずさ「……先輩……」
真道は手首に触れたまま、
指先でそっと“流れ”を整えるように押す。
真道「……ほら。少し軽くなったはずだ」
あずさ「……あ……ほんとだ……」
胸のざわつきが、すっと薄れていく。
真道は静かに息を吐く。
真道(……やっぱり、あのときの違和感は気のせいじゃなかったのか?)
──回想。
〇大学の教室・春
サークル新入生の自己紹介。
あずさ「……白杜あずさです」
真道「白杜……?」
あずさ「え?」
真道「いや、なんでもない」
──現在に戻る。
真道(あずさの名字は白杜……この反応……
白杜家の伝承が頭をよぎる……まさか……)
あずさ「先輩……?」
真道は静かに言う。
真道「あずさ。これは君のせいじゃない。
……あずさが悪いんじゃない」
あずさの目に涙が滲む。
あずさ「……ありがとうございます……」
真道は少しだけ目を伏せる。
あずさ「先輩……?」
真道「なんでもない。今日はもう休んで」
あずさ「……はい」
二人は再び歩き出す。
夜の気配が、静かに近づいていた。
