〇神社・参道(夕暮れ)
祠から離れたあと、真道はあずさを抱きかかえたまま、
ゆっくりと参道を下っていた。
あずさの呼吸は落ち着いてきている。
けれど、まだ意識は浅い。
真道(……俺は……この力が嫌いだった……見える世界が変わるのも……父みたいになるのも……全部、嫌だった……)
腕の中のあずさが、かすかに身じろぎした。
真道(……でも……あずさを守れるなら……圓藤のこの力も……悪くない……)
胸の奥に、静かに熱が灯る。
〇回想:圓藤家の祓う力を使う真道
祠の前。
あずさの膝が崩れた瞬間、真道は反射的に抱きとめた。
真道(……このままじゃ……あずさが”連れていかれる”……)
第一段階:視る《見通しの目》
世界の輪郭が反転し、あずさの身体に絡む妖鬼の“憑依の影”が浮かび上がる。
あずさの身体に絡みつく妖鬼の“憑依の影”が、
見通しの目を開いた瞬間、はっきりと視えた。
第二段階:切る《言霊》
真道「……断つ」
短い言霊が空気を震わせ、妖鬼の”憑依の影”が ”ぱんっ”と弾けるように消えた。
あずさの呼吸が少し戻る。
だが、まだ薄い妖気がまとわりついている。
真道(……残ってる……全部、消す……)
第三段階:消す《気配を断つ祓力》
真道が呪文を唱えると周囲の空気が静かに密度を増し淡く光る。
あずさにまとわりついていた妖気の残滓が、じゅ……と焼けるように白い煙を出しながら消えていく。
その瞬間あずさの身体から力が抜け、真道の胸に預けられた。
真道(……はあ、よかった……)
〇参道・石段の前
あずさがゆっくりと目を開けた。
あずさ「……先輩……?」
真道「……あずさ…起きたか……よかった……」
あずさは真道の胸元に顔を寄せたまま、
ぼんやりとした目で周囲を見渡す。
あずさ「……また……私……」
真道「大丈夫だ……もう憑かれてない」
あずさの肩が小さく震えた。
あずさ「……ごめんなさい、真道先輩……また……迷惑かけて……」
真道「……迷惑なんかじゃない」
言葉は短い。けれど、声の温度は静かに優しい。
真道「……あずさが危ないなら……俺は何度でも助けるさ」
あずさの瞳が揺れた。
その揺れは、恐怖ではなく安堵に近い。
〇参道・石段の前
あずさ「……先輩……」
真道「…ん?」
あずさは少しだけ迷ってから、胸の奥にしまっていた言葉を
そっと取り出すように言った。
あずさ「……私……本当は……こんな体質なんか嫌だ……
普通になりたいって……ずっと思ってました」
真道は黙って聞いている。
あずさ「でも……また……先輩が……助けてくれて……
抱きしめてくれて……“もう大丈夫だ”って言ってくれて……」
言葉が震える。でも、逃げない。
あずさ「……普通じゃなくても……先輩と……一緒にいたいと…
思ってしまいました……」
真道の胸が、静かに熱くなる。
真道「……あずさ」
あずさ「ごめんなさい……
こんなこと言って……迷惑ですよね……」
真道は首を横に振った。
真道「……迷惑なわけないだろ」
あずさが顔を上げる。
夕暮れの風が、二人の間を静かに通り抜けた。
〇参道・帰り道
真道はあずさの肩を支えながら歩き出す。
真道(……この力は……嫌いだった。
でも……あずさを守れるなら……俺は……圓藤の力を受け入れる……)
あずさは真道の隣で、安心したように息を吐いた。
あずさ(……普通じゃなくてもいい……
真道先輩と一緒に……いたい……)
二人の歩幅が、自然と揃っていく。
二人は並んで歩いた。
夕暮れの参道に、ゆっくりと足音が続く。
ふたりの覚悟は決まっていた。
祠から離れたあと、真道はあずさを抱きかかえたまま、
ゆっくりと参道を下っていた。
あずさの呼吸は落ち着いてきている。
けれど、まだ意識は浅い。
真道(……俺は……この力が嫌いだった……見える世界が変わるのも……父みたいになるのも……全部、嫌だった……)
腕の中のあずさが、かすかに身じろぎした。
真道(……でも……あずさを守れるなら……圓藤のこの力も……悪くない……)
胸の奥に、静かに熱が灯る。
〇回想:圓藤家の祓う力を使う真道
祠の前。
あずさの膝が崩れた瞬間、真道は反射的に抱きとめた。
真道(……このままじゃ……あずさが”連れていかれる”……)
第一段階:視る《見通しの目》
世界の輪郭が反転し、あずさの身体に絡む妖鬼の“憑依の影”が浮かび上がる。
あずさの身体に絡みつく妖鬼の“憑依の影”が、
見通しの目を開いた瞬間、はっきりと視えた。
第二段階:切る《言霊》
真道「……断つ」
短い言霊が空気を震わせ、妖鬼の”憑依の影”が ”ぱんっ”と弾けるように消えた。
あずさの呼吸が少し戻る。
だが、まだ薄い妖気がまとわりついている。
真道(……残ってる……全部、消す……)
第三段階:消す《気配を断つ祓力》
真道が呪文を唱えると周囲の空気が静かに密度を増し淡く光る。
あずさにまとわりついていた妖気の残滓が、じゅ……と焼けるように白い煙を出しながら消えていく。
その瞬間あずさの身体から力が抜け、真道の胸に預けられた。
真道(……はあ、よかった……)
〇参道・石段の前
あずさがゆっくりと目を開けた。
あずさ「……先輩……?」
真道「……あずさ…起きたか……よかった……」
あずさは真道の胸元に顔を寄せたまま、
ぼんやりとした目で周囲を見渡す。
あずさ「……また……私……」
真道「大丈夫だ……もう憑かれてない」
あずさの肩が小さく震えた。
あずさ「……ごめんなさい、真道先輩……また……迷惑かけて……」
真道「……迷惑なんかじゃない」
言葉は短い。けれど、声の温度は静かに優しい。
真道「……あずさが危ないなら……俺は何度でも助けるさ」
あずさの瞳が揺れた。
その揺れは、恐怖ではなく安堵に近い。
〇参道・石段の前
あずさ「……先輩……」
真道「…ん?」
あずさは少しだけ迷ってから、胸の奥にしまっていた言葉を
そっと取り出すように言った。
あずさ「……私……本当は……こんな体質なんか嫌だ……
普通になりたいって……ずっと思ってました」
真道は黙って聞いている。
あずさ「でも……また……先輩が……助けてくれて……
抱きしめてくれて……“もう大丈夫だ”って言ってくれて……」
言葉が震える。でも、逃げない。
あずさ「……普通じゃなくても……先輩と……一緒にいたいと…
思ってしまいました……」
真道の胸が、静かに熱くなる。
真道「……あずさ」
あずさ「ごめんなさい……
こんなこと言って……迷惑ですよね……」
真道は首を横に振った。
真道「……迷惑なわけないだろ」
あずさが顔を上げる。
夕暮れの風が、二人の間を静かに通り抜けた。
〇参道・帰り道
真道はあずさの肩を支えながら歩き出す。
真道(……この力は……嫌いだった。
でも……あずさを守れるなら……俺は……圓藤の力を受け入れる……)
あずさは真道の隣で、安心したように息を吐いた。
あずさ(……普通じゃなくてもいい……
真道先輩と一緒に……いたい……)
二人の歩幅が、自然と揃っていく。
二人は並んで歩いた。
夕暮れの参道に、ゆっくりと足音が続く。
ふたりの覚悟は決まっていた。
