鞘丸は受け身も取れず、地面に叩き付けられた。
今の衝撃で、肋骨が折れたのが自分でも分かってしまった。
もしかしたら、肺に刺さったかもしれない。
「かはっ‥」
痛みを堪えて、視線を向けた先の兄の顔は喜びではなく悲しみに歪んで見えた。
ーやっと望みが叶うって言っていた癖に、何て顔してんだよー
ああ、何でこんなに俺達は狂ってしまったのか。
悔しい。悔しい。
何も出来ない自分が悔しくてたまらない。
地面に倒れたままの自分を、残りの鎧武者達が取り囲む音がする。
身体中の痛みと、息苦しさで起き上がることが出来ない。
ああ、ここまでか。
天姫はもう列ノ国に着いているだろうか
最後にもう一度会いたかった
いや、最後なんて嫌だ
もっと一緒にいたかった
まだ彼女との祝言も挙げていない
まだこの腕に彼女を抱けていない
もっと、もっと、もっと、もっと彼女の笑顔が見たい
そばにいたい
一緒に生きたい
「好きだ‥天姫‥っ」
鎧武者が刀を振り上げた時だった
「鞘丸!!!鞘丸ーーー!!!」
天姫の声がした。
その声に鈨丸の注意も逸れたのか、鎧武者の動きも止まる。
何とか首を動かし、声のする方を見た。
天姫が走って来る。幻じゃない。彦次郎も楓の姿も見えない。彼女が自分の足で、たった一人でこんな戦場にいる。ただ俺を助けようと必死に走っていた。
「天姫殿‥何故貴女が‥!」
鎧武者達が一斉に天姫目掛けて動き出す。
何やってる‥!動け‥っ!
起きろ、起きろ。守るんだろ!
絶対、守るんだーー‥
悲鳴を上げる体を、無理やり起こす。鎖鎌を持ち直すと、地面を蹴り上げ天姫の下へ走った。
全身の力を腕に込めて、天姫の目の前の鎧武者達を薙ぎ倒す。最後の一体を倒すと、鞘丸と天姫を隔てるものは無くなった。
「鞘‥丸‥」
「天姫‥」
こんな危険な場所に来ちゃダメだろ
彦次郎と楓はどうした
怪我はないか
言いたい事は山ほどあるのに。でも口から溢れたのは素直な気持ちだった。
「会いたかった‥」
崩れ落ちそうな鞘丸の体を天姫が優しく抱き締める。
「私も会いたかった‥貴方が、貴方が生きてて良かった‥」
天姫の言葉に、鞘丸の瞳から涙が溢れた。
二人の姿に、鈨丸は声を荒げる。
「こんな所まで何のつもりですか天姫殿!‥‥ああ、待ち切れなくて鞘丸の死を見届けに来たのですか」
顔を歪める鈨丸に、天姫は悲しい目を向ける。
「鈨丸。私は貴方を止めに来ました」
「何を‥」
天姫は袂に入れていた日記を取り出す。
「これを。露草殿の日記です」
鈨丸は目を見開く。
「ふ、ふざけるな!!そんな偽物‥!貴女まで母を愚弄する気か!!」
「偽物かどうかは、貴方の目で確かめてください」
鞘丸から離れ、鈨丸に近付くと、その手に日記を握らせた。
震える手で頁を捲る。そこには見慣れた母の綺麗な字が並んでいた。
「そんな‥馬鹿なっ‥‥」
ー鈨丸が生まれてどれだけ幸せだったかー
ー不器用だけど優しい陽炎をどれだけ愛し、そして愛されていたかー
ー芳乃がどれだけ自分達を大切に思ってくれていたかー
ー里を愛してる事、鈨丸を守ってあげられなかった後悔、先立つ事への謝罪ー
ーそして鞘丸と鈨丸、兄弟で支え合って生きて欲しいという母の願いー
露草の思いで溢れていた
「何で、どうして、こんな物が今‥」
「本当は貴方の手に渡るはずだったのですが、手違いで里の書庫に眠っていたのです‥。鈨丸、貴方は露草殿に、陽炎様に芳乃様に皆に愛されているのですよ」
天姫の言葉に鈨丸は頭を抱えて膝をつく。
「そんな、私は‥」
「貴方は酷い言葉に傷付いた。そして殻に閉じ籠った‥」
かつての自分と同じ。臨王の言葉に傷付き怯えた自分の様に。でも鞘丸が来てくれた。
心配そうにこちらを見る鞘丸が目に入る。
「でも貴方は今、露草殿の思いを知れた。陽炎様も、鞘丸も生きています。まだ、まだ何度だってやり直せます‥!」
「鞘‥丸‥‥私は‥‥」
「兄上‥‥」
何だか幼い頃の兄上の様だった。思わず手を伸ばしかけた時だった。
「つまらない男だな。戦場で狼狽えるなよ」
兵王が背後から鈨丸を切り捨てた。
ずるりと地面に倒れ込む鈨丸を天姫が支えようとする姿を、兵王は冷たい目で見る。
鞘丸が天姫と鈨丸を庇う様に立った。
「兄上‥!兵王‥貴様‥!」
「いつまでも弟の首を持ち帰って来ないから様子を見に来れば‥全く。憎しみに呑まれたお前が面白いから拾ってやったというのに、ガッカリだ」
「ふざけるな!」
怒りに震えた鞘丸が鎖鎌を構える。
しかし満身創痍の鞘丸に、相手は無傷の兵王と兵王の連れて来た数百の兵士達。ダメだ、いくら何でも部が悪すぎる。
「どうしたら‥‥」
「うっ‥」
天姫の腕の中で、鈨丸が意識を取り戻す。
「鞘丸は‥?」
「無事です‥でもあの数では‥」
兵士達は何とかなるが、やはり兵王がどんどん鞘丸を追い詰めている。もう時間の問題だ。
「‥これだけ血が出ていればもう関係無いな」
鈨丸が手を前に翳すと、鎧武者達が現れた。
その鎧武者達が一斉に兵王に飛び掛かる。
まるで鞘丸を守る様に。
「何のつもりだ!鈨丸!」
「兵王‥‥私は沢山間違えて来ました。でも、でも、もしかしたらまだ間に合うかもしれない。鞘丸が‥弟が生きていてくれるから‥」
鈨丸は鞘丸を見て微笑んだ。
「こんな兄ですまないな、鞘丸。でも最期くらいはお前を守らせてくれ」
それは優しい一人の兄の顔だった。
悲しみと憎しみに歪む顔は、もうどこにもなかった。
鎧武者達が兵王に斬られては消え、また鈨丸の血を吸い上げ現れては兵王に斬られる。
このままじゃ、鈨丸も失血死してしまう。
鞘丸も応戦するがもう限界だった。
その時
「天姫様ー!!」
鈨丸の鎧武者がこちらに集中した事で解放された楓と彦次郎がやって来る。けれど二人とももうボロボロであった。
「楓!彦次郎!天姫と兄上を連れて逃げろ!」
鞘丸が二人に叫ぶ。
「そんな、嫌です!鞘丸!」
抵抗する天姫を彦次郎が、もはや意識を失いかけている鈨丸を楓が担ごうとした時だった。
天姫の目の前に未来が流れ込む。
天姫が力強く彦次郎の腕を引いた。
「天姫様‥?」
「このまま、ここに‥大丈夫」
天姫は顔を上げた
「援軍が来ます」
けたたましい蹄の音が響く。
「何事だ!?」
兵王が動きを止め、警戒する。
土煙を上げ、列ノ国の騎馬隊が現れた
瞬く間に兵王達を取り囲んでいく。
騎馬隊の中から列王が姿を見せた。
「列王‥!動けたのか‥!」
「この程度の傷ではまだまだ死なんさ。年寄りはしぶといという事を覚えておけ。若き王よ、ここまでのようだな」
「この程度の騎馬隊ごときで何を‥!」
しかし騎馬隊の奥にはまだ兵士が続いている。それは臨ノ国の旗を掲げていた。
「臨ノ国‥?どうして‥」
「天姫の父上が力を貸してくれた。子を守りたいと思う気持ちは皆、同じだな。なあ、陽炎」
兵王の後ろには陽炎が立っていた。
「何故、貴様がここに‥!」
毒矢を受けてとっくに死んだ筈では‥!しかし矢を受けた筈の腕を見れば、そこに腕は無かった。毒が回る前に腕を切り落としたって言うのか‥その姿に兵王は恐怖した。
「くそっ!お前だ!お前のせいで全て狂った!!」
兵王は叫ぶと、天姫目掛けて走って来る。彦次郎と楓が庇う様に前に立つが、その刃が届く前に陽炎が残った腕で刀を振った。
「許せ」
咄嗟に彦次郎が天姫の目を覆う。
兵王の首が地面に落ちた。
辺りが一瞬、静寂に包まれる。
そして列王が声を上げた。
「この戦、列王が勝利した!勝ち鬨を上げよ!」
「「「おおおーーーー!!!!!」」」
戦の終わる音がした。
よろよろと鞘丸が天姫に近付く。
天姫もそれに気付くと、彦次郎の腕を離れ鞘丸に駆け寄った。
「戦場なんて危ない所、来ちゃダメだろ」
今更なことを鞘丸が苦い笑しながら告げる。
「鞘丸の為なら、私も何処へだって行きます」
「本当に、無茶をするところは変わらない」
鞘丸はかつての戦を思い出し、口元を緩めた。
鞘丸も、天姫も、彦次郎も楓も陽炎も‥そして鈨丸も皆ボロボロだった。でも皆んな生きている。
「帰ろうか、天姫。俺達の里へ」
「はい」
こうして列ノ国と兵ノ国の戦は、兵王の死という形で幕を閉じた。
今の衝撃で、肋骨が折れたのが自分でも分かってしまった。
もしかしたら、肺に刺さったかもしれない。
「かはっ‥」
痛みを堪えて、視線を向けた先の兄の顔は喜びではなく悲しみに歪んで見えた。
ーやっと望みが叶うって言っていた癖に、何て顔してんだよー
ああ、何でこんなに俺達は狂ってしまったのか。
悔しい。悔しい。
何も出来ない自分が悔しくてたまらない。
地面に倒れたままの自分を、残りの鎧武者達が取り囲む音がする。
身体中の痛みと、息苦しさで起き上がることが出来ない。
ああ、ここまでか。
天姫はもう列ノ国に着いているだろうか
最後にもう一度会いたかった
いや、最後なんて嫌だ
もっと一緒にいたかった
まだ彼女との祝言も挙げていない
まだこの腕に彼女を抱けていない
もっと、もっと、もっと、もっと彼女の笑顔が見たい
そばにいたい
一緒に生きたい
「好きだ‥天姫‥っ」
鎧武者が刀を振り上げた時だった
「鞘丸!!!鞘丸ーーー!!!」
天姫の声がした。
その声に鈨丸の注意も逸れたのか、鎧武者の動きも止まる。
何とか首を動かし、声のする方を見た。
天姫が走って来る。幻じゃない。彦次郎も楓の姿も見えない。彼女が自分の足で、たった一人でこんな戦場にいる。ただ俺を助けようと必死に走っていた。
「天姫殿‥何故貴女が‥!」
鎧武者達が一斉に天姫目掛けて動き出す。
何やってる‥!動け‥っ!
起きろ、起きろ。守るんだろ!
絶対、守るんだーー‥
悲鳴を上げる体を、無理やり起こす。鎖鎌を持ち直すと、地面を蹴り上げ天姫の下へ走った。
全身の力を腕に込めて、天姫の目の前の鎧武者達を薙ぎ倒す。最後の一体を倒すと、鞘丸と天姫を隔てるものは無くなった。
「鞘‥丸‥」
「天姫‥」
こんな危険な場所に来ちゃダメだろ
彦次郎と楓はどうした
怪我はないか
言いたい事は山ほどあるのに。でも口から溢れたのは素直な気持ちだった。
「会いたかった‥」
崩れ落ちそうな鞘丸の体を天姫が優しく抱き締める。
「私も会いたかった‥貴方が、貴方が生きてて良かった‥」
天姫の言葉に、鞘丸の瞳から涙が溢れた。
二人の姿に、鈨丸は声を荒げる。
「こんな所まで何のつもりですか天姫殿!‥‥ああ、待ち切れなくて鞘丸の死を見届けに来たのですか」
顔を歪める鈨丸に、天姫は悲しい目を向ける。
「鈨丸。私は貴方を止めに来ました」
「何を‥」
天姫は袂に入れていた日記を取り出す。
「これを。露草殿の日記です」
鈨丸は目を見開く。
「ふ、ふざけるな!!そんな偽物‥!貴女まで母を愚弄する気か!!」
「偽物かどうかは、貴方の目で確かめてください」
鞘丸から離れ、鈨丸に近付くと、その手に日記を握らせた。
震える手で頁を捲る。そこには見慣れた母の綺麗な字が並んでいた。
「そんな‥馬鹿なっ‥‥」
ー鈨丸が生まれてどれだけ幸せだったかー
ー不器用だけど優しい陽炎をどれだけ愛し、そして愛されていたかー
ー芳乃がどれだけ自分達を大切に思ってくれていたかー
ー里を愛してる事、鈨丸を守ってあげられなかった後悔、先立つ事への謝罪ー
ーそして鞘丸と鈨丸、兄弟で支え合って生きて欲しいという母の願いー
露草の思いで溢れていた
「何で、どうして、こんな物が今‥」
「本当は貴方の手に渡るはずだったのですが、手違いで里の書庫に眠っていたのです‥。鈨丸、貴方は露草殿に、陽炎様に芳乃様に皆に愛されているのですよ」
天姫の言葉に鈨丸は頭を抱えて膝をつく。
「そんな、私は‥」
「貴方は酷い言葉に傷付いた。そして殻に閉じ籠った‥」
かつての自分と同じ。臨王の言葉に傷付き怯えた自分の様に。でも鞘丸が来てくれた。
心配そうにこちらを見る鞘丸が目に入る。
「でも貴方は今、露草殿の思いを知れた。陽炎様も、鞘丸も生きています。まだ、まだ何度だってやり直せます‥!」
「鞘‥丸‥‥私は‥‥」
「兄上‥‥」
何だか幼い頃の兄上の様だった。思わず手を伸ばしかけた時だった。
「つまらない男だな。戦場で狼狽えるなよ」
兵王が背後から鈨丸を切り捨てた。
ずるりと地面に倒れ込む鈨丸を天姫が支えようとする姿を、兵王は冷たい目で見る。
鞘丸が天姫と鈨丸を庇う様に立った。
「兄上‥!兵王‥貴様‥!」
「いつまでも弟の首を持ち帰って来ないから様子を見に来れば‥全く。憎しみに呑まれたお前が面白いから拾ってやったというのに、ガッカリだ」
「ふざけるな!」
怒りに震えた鞘丸が鎖鎌を構える。
しかし満身創痍の鞘丸に、相手は無傷の兵王と兵王の連れて来た数百の兵士達。ダメだ、いくら何でも部が悪すぎる。
「どうしたら‥‥」
「うっ‥」
天姫の腕の中で、鈨丸が意識を取り戻す。
「鞘丸は‥?」
「無事です‥でもあの数では‥」
兵士達は何とかなるが、やはり兵王がどんどん鞘丸を追い詰めている。もう時間の問題だ。
「‥これだけ血が出ていればもう関係無いな」
鈨丸が手を前に翳すと、鎧武者達が現れた。
その鎧武者達が一斉に兵王に飛び掛かる。
まるで鞘丸を守る様に。
「何のつもりだ!鈨丸!」
「兵王‥‥私は沢山間違えて来ました。でも、でも、もしかしたらまだ間に合うかもしれない。鞘丸が‥弟が生きていてくれるから‥」
鈨丸は鞘丸を見て微笑んだ。
「こんな兄ですまないな、鞘丸。でも最期くらいはお前を守らせてくれ」
それは優しい一人の兄の顔だった。
悲しみと憎しみに歪む顔は、もうどこにもなかった。
鎧武者達が兵王に斬られては消え、また鈨丸の血を吸い上げ現れては兵王に斬られる。
このままじゃ、鈨丸も失血死してしまう。
鞘丸も応戦するがもう限界だった。
その時
「天姫様ー!!」
鈨丸の鎧武者がこちらに集中した事で解放された楓と彦次郎がやって来る。けれど二人とももうボロボロであった。
「楓!彦次郎!天姫と兄上を連れて逃げろ!」
鞘丸が二人に叫ぶ。
「そんな、嫌です!鞘丸!」
抵抗する天姫を彦次郎が、もはや意識を失いかけている鈨丸を楓が担ごうとした時だった。
天姫の目の前に未来が流れ込む。
天姫が力強く彦次郎の腕を引いた。
「天姫様‥?」
「このまま、ここに‥大丈夫」
天姫は顔を上げた
「援軍が来ます」
けたたましい蹄の音が響く。
「何事だ!?」
兵王が動きを止め、警戒する。
土煙を上げ、列ノ国の騎馬隊が現れた
瞬く間に兵王達を取り囲んでいく。
騎馬隊の中から列王が姿を見せた。
「列王‥!動けたのか‥!」
「この程度の傷ではまだまだ死なんさ。年寄りはしぶといという事を覚えておけ。若き王よ、ここまでのようだな」
「この程度の騎馬隊ごときで何を‥!」
しかし騎馬隊の奥にはまだ兵士が続いている。それは臨ノ国の旗を掲げていた。
「臨ノ国‥?どうして‥」
「天姫の父上が力を貸してくれた。子を守りたいと思う気持ちは皆、同じだな。なあ、陽炎」
兵王の後ろには陽炎が立っていた。
「何故、貴様がここに‥!」
毒矢を受けてとっくに死んだ筈では‥!しかし矢を受けた筈の腕を見れば、そこに腕は無かった。毒が回る前に腕を切り落としたって言うのか‥その姿に兵王は恐怖した。
「くそっ!お前だ!お前のせいで全て狂った!!」
兵王は叫ぶと、天姫目掛けて走って来る。彦次郎と楓が庇う様に前に立つが、その刃が届く前に陽炎が残った腕で刀を振った。
「許せ」
咄嗟に彦次郎が天姫の目を覆う。
兵王の首が地面に落ちた。
辺りが一瞬、静寂に包まれる。
そして列王が声を上げた。
「この戦、列王が勝利した!勝ち鬨を上げよ!」
「「「おおおーーーー!!!!!」」」
戦の終わる音がした。
よろよろと鞘丸が天姫に近付く。
天姫もそれに気付くと、彦次郎の腕を離れ鞘丸に駆け寄った。
「戦場なんて危ない所、来ちゃダメだろ」
今更なことを鞘丸が苦い笑しながら告げる。
「鞘丸の為なら、私も何処へだって行きます」
「本当に、無茶をするところは変わらない」
鞘丸はかつての戦を思い出し、口元を緩めた。
鞘丸も、天姫も、彦次郎も楓も陽炎も‥そして鈨丸も皆ボロボロだった。でも皆んな生きている。
「帰ろうか、天姫。俺達の里へ」
「はい」
こうして列ノ国と兵ノ国の戦は、兵王の死という形で幕を閉じた。
