儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯東地区・酒屋・お座敷・ゆずるside

障子を開けると、六畳ほどの和室に蛙のあやかしと着飾った人間の女達がいる。

翠「失礼いたします」

翠に続き会釈すると、ゆずるはお屋敷に入り、テーブルに酒と杯を置く。

源河「お前、さっき玄関で見た小娘だな」

【源河】(げんが)蛙のあやかしでリーダー、女好き。

源河「……おい、何か言え」

何も答えず俯いているゆずるに、源河は腹を立て、ゆずるの細い腕をぎゅっと握る。
ゆずるは痛くて顔を顰める。

ゆずる(ど、どうしよう……)

源河の手下1「っ……貴様、お館様を馬鹿にしているのか!」
ゆずる「っ……!!」

源河の手下はゆずるの頬をぶつ。
頬をぶたれたゆずるは畳の上に倒れる。
驚く翠と女達。

源河の手下1「人間風情が調子に乗るなよっ!誰のおかげでこうして生きていけていると思っているのだ!!」

源河の手下の叫び声に、麻美が慌ててお座敷に入ってくる。

麻美「ど、どうなさいましたか……!?」
源河「この小娘が俺様を馬鹿にしている。どういう教育をしているんだ」

麻美は焦った様子で正座をすると畳に頭をつける。

麻美「も、申し訳ありません。この娘はつい最近入ったばかりの新人でして……言葉を話せないのです」

麻美の言葉に、源河は訝しげに眉間に皺を寄せる。

源河「言葉を話せない……?気に食わん。その娘を連れてとっとと出て行け!」
麻美「もちろんでございます」

麻美はガシッとゆずるの腕を掴むと御座敷を出る。