◯異界・昼・ゆずるside
異界にある川で洗濯をしているゆずると真里。
ゆずるは川の淵で両膝を付き、洗濯物を洗っていると、川を挟んだ茂みの中に、金色の瞳の白うさぎがいるのを見つける。
ゆずる(わぁ……可愛い!)
木の上には、金色の瞳のりすがいて、どんぐりを食べている。
ゆずるの視線に、真里もうさぎを見る。
真里「おっ、あれは王牙様が造った妖獣達ね」
ゆずる(造る?そんなことできるんだ)
真里「そもそも、この異界も王牙様がお作りになったものだから」「……そういえば、ゆずるはどうしてここに来たの?」
ゆずる【あやかしに追いかけられて逃げていたところ、崖から落ちて、この異界に迷い込みました】
真里「崖から?変ね……王牙様や優里と私以外は、出入りできないはずなんだけど」「どうして何の力もないはずの人間のゆずるが、ここに来られたのかしら……」※ゆずるが霊力を持っているからということもあるが、王牙の無意識な想いによって異界に引き込まれた。
そこで大きな物音が鳴る。
真里「何!?」
異界の一部分から青い光が放たれている。
真里とゆずるは急いでそこに向かうと、優里と犬達がいる。
崖の一部が壊れ、煙が出ている。
犬達は牙を剥き出し、唸って警戒している。
真里「優里!どうしたの!?」
優里「真里!ゆずる!ここから離れろ!」
優里の言葉にゆずると真里は足を止める。
煙の中から人影が見え、昴と昴の祖父が現れる。
優里「何者だ!」
昴の祖父「犬神一族のご当主、王牙様にお目どおり願いたい」
優里「主人は留守にしている」「それより、貴様らどうやってこの異界に入った」
昴の祖父「教えてもらえないのなら仕方がないな」「昴、祓いなさい」
昴「はい、お祖父様」
昴は優里の前に出ると、呪文を唱え始める。
犬達は昴に噛みつこうとするが、呪文により苦しみ出す。
優里は昴の呪文い耐えながら、あやかし化し、黒い大きな犬になる。
昴を威嚇しながらジリジリと歩み寄るが、呪文が強まり、優里は地面に倒れ込む。真里もしゃがみ込み、呪文に苦しみ出す。
ゆずる(優里さん……!真里さん……!)
ゆずるは居ても立ってもいられず、優里と真里を庇うように両手を広げ、昴の前に出る。
ゆずる(やめて……!!)
いきなり目の前に、現れたゆずるに、昴は目を大きく見開く。
昴の祖父「人間……!?」
そこで崖に黒い煤のトンネルができで、王牙が現れ、昴は呪文をやめる。
真里「優里しっかり!」
王牙はゆずるを隠すようにゆずるの前に立つ。
王牙「我が屋敷に無断で立ち入るとは何者だ」
昴の祖父「犬神一族のご当主、王牙様でいらっしゃいますね」
昴の祖父は王牙の前に歩み出る。
昴の祖父「私どもは祓い屋のものです」
王牙「絶滅したと思っていたが……?」
昴の祖父「生き残りというやつです。折いって、王牙様にお願いがあり、異界をこじ開けさせていただきました」
王牙は壊れた崖を一瞥する。
王牙「そのようだな」
昴の祖父「お話、聞いていただけますね?」

