儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯異界・(王牙の屋敷) ・昼・ゆずるの寝室(洋風)・ゆずるside

窓辺の椅子に座り、ゆずるが真里から手当を受けていると、ドアがノックされる。

真里「はーいどうぞ!」

王牙は部屋に入ると、ゆずるの前に立つ。
黒曜に乱暴をされ、ゆずるは肘や膝、顔に擦り傷を負っていて、包帯を巻かれている。

王牙「怪我の具合はどうだ」
真里「王牙様が持ってきてくださった薬草のおかげで、だいぶ回復しましたよ」
王牙「……そうか」
真里「では、私はお昼ご飯の用意をしてきますね」

ゆずる(あっ、私も手伝いたい)

椅子から立ちあがろうとしたゆずるの肩を王牙は掴む。

王牙「お前はここにいろ。私の側に)

ゆずる(えっ……)

そんな二人を真里は微笑ましそうに見ながら部屋を出ていく。
王牙はゆずるの隣の椅子に腰を下ろす。

ゆずる(一緒にいたい。なんて言われているみたい)

ゆずる【お仕事は大丈夫なんですか?】

王牙「仕事……?ああ……書状のことか」

ゆずる(立ち聞きするつもりはなかったけど、王牙様が人間の私を妻にすると知って、あやかし達は混乱しているみたい……)※リビングで王牙と優里が話しているのを聞いてしまっているゆずるの絵。
(これから、大丈夫かな)

不安そうにするゆずるを王牙は引き寄せ、抱きしめる。

王牙「気にすることはない。お前はただ、私に守られてればいい」

ゆずる(なんだろう……王牙様に抱きしめられると、すごく安心する……)

ゆずるモノ『お母さんとお父さんに抱きしめられる時も、安心したけど、それとは違って、胸がすごく幸せで満たされる感じ』

ゆずる【あの、一つお願いがあるのですが……】

王牙「なんだ?」

ゆずる【一度、酒屋に戻ってもいいでしょうか?色々と荷物を取りに行きたくて】

ゆずる(前に王牙様からいただいた着物も部屋に置いたままだし)

王牙「いいだろう」

ゆずる【それと、祠にも行きたいです】

王牙「祠に……?」

ゆずる「お母さんとお父さんに、王牙様を紹介したいです」

少し照れながら譲るはノートを見せる。

王牙「分かった。支度をしろ。私も行く」

そう言うと、王牙は寝室を出て行く。

ゆずる(えっ、私もって……)