儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯異界(王牙の屋敷)リビング(和室)・朝・王牙side

【ナレーション】『四百年前、ある大あやかしが封印された。その名は王牙。あやかし最強と謳われる王牙は、己の前に立ち塞がる者は容赦なく切り殺す冷酷な男だった』※返り血を浴びている王牙の絵。
『秀でた美貌、圧倒的な強さを持つ王牙は、儚く脆い人間を嫌悪していた。だが、その王牙はある人間の少女と出会ったことで、変わり始めていた……』

優里「各地区の統括者からの書状です」

片膝をついた優里は、畳の上に座る王牙に大量の書状を渡す。

優里「みな、王牙様が戻られたと耳にし、ここぞとばかりに媚を売ろうとしています」
王牙「フンッ……つまらんことを。奴らがどうなろうと、私には関係のないことだ」
優里「王牙様が人間の娘を伴侶に迎えたと、あやかし達の間には混乱が広がっているようです」
王牙「……」
優里「出過ぎた発言をすることは重々承知ですが、本当にゆずるを伴侶にするつもりですか?」

【ナレーション】『本来、あやかしはあやかし同士で婚姻をする。特に、王牙のような大あやかしの一族は、その血を絶やすことのないように、一族内同士で婚姻をし、純潔の子を産む。つまり、人との異類婚姻譚など、前途多難なのだ』

優里「今は人間を支配下に置く時代です。そんな中、あやかしを従える王牙様が人間を伴侶にするなど、他のあやかし達に示しがつきませんし、お父上達もなんとおっしゃられるか……」
王牙「隠居した身の両親の口出しは無用だ。犬神一族の投手は、この王牙なのだから」
優里「そうですけど……」

優里は納得いかず、腑に落ちない顔をする。