儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯東地区・酒屋(厨房)・夜・ゆずるside

ゆずるが厨房で調理していると高揚した様子の翠がやって来る。

翠「ゆずる見てこれ!」

翠の手には一枚の金貨がある。

ゆずる(すごい、本物の金貨だ)

翠「多分、あやかしが落としたんだよ。これ一枚あれば、私達、ここを出て暮らせるかも」

そこに先輩従業員がやってくる。
翠はバッと後ろに金貨を隠す。

先輩従業員「ねえ、料理はまだ?お客様がお待ちよ」

翠「はい、今すぐに!ゆずるこれ持ってて!」

そう言い、翠はゆずるの着物のポケットに金貨を押し込む。

ゆずる(えっ、でも……これはあやかしのだから返したほうがいいんじゃ……)

不安げな顔をするゆずる。

翠「バレなきゃ大丈夫だって。どうせあいつらたくさん持ってるだろうし、一枚くらい無くなったって気づかないよ」「さ、早く料理作って運ぼ」