儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯東地区・酒屋・お座敷・夜・ゆずるside

ゆずるが麻美とお座敷に向かうと、源河と王牙の異界まで追いかけてきた手下がいる。

源河「よく来てくれた。まあ、座ってくれ」

源河にそう言われ、ゆずるは源河の前、畳の上に正座する。

源河「手下が色々と悪かった」

頭を下げる源河に、ゆずるは驚く。

ゆずる(あの源河が人間の私に頭を下げるなんて、一体、何がどうなって……)

後ろに立っていた麻美も驚いて言葉が出ない。

源河「これからは仲良くしようじゃないか」

ゆずるは何も反応できずにいると、麻美がゆずるの背中をポンと叩く。

麻美「も、もちろんでございます」

ゆずるが会釈をしてお座敷を出ると、廊下に翠の姿がある。

翠「なんだって?」

ゆずる【こないだは悪かったって、謝られた】

翠「え……源河がゆずるに、そう言ったの?」

ゆずるが頷くと、翠は訝しげにする。

翠「……なんで、あやかしがゆずるに謝るのよ」※翠の顔に影が落ち、このつぶやきはゆずるに聞こえていない。

ゆずる(翠ちゃん、今何か言った??)

首を傾げて翠を見るゆずる。

翠「なんでもない!さ、仕事しよ」

厨房に向かう翠をゆずるは追う。