儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯異界(王牙の屋敷)・中庭・夜・ゆずるside


暗い部屋の中、ゆずるは目を覚ます。

ゆずる(あれ……気のせいかな?今ここに、誰かがいたような気が……)

頬に手を当てると、ゆずるは部屋を出る。
中庭に行くと、王牙がいる。縁側に腰掛け、星が浮かぶ空を見上げている。

ゆずる(あっ……王牙様)

美しい横顔に見惚れていると、王牙はゆずるを見る。

王牙「……何をしている。ここに座ったらどうだ」

王牙の隣に腰を下ろすゆずる。

王牙「お前はどうしたい?」

ゆずる(どうしたいって、あの酒屋に戻るか、ここにいるかってこと……?)

王牙「私はお前の気持ちを尊重する。好きな方を選べ」

ゆずる(ここは酒屋なんかよりも、居心地がいい。私のことを邪険に思う人が一人もいない)※みんなで楽しく食事している絵。
(でも、ずっとここにいるわけにはいかない。いきなりいなくなって、翠ちゃんも心配しているはずだし……)

ゆずるは王牙に向き合うと、深々と頭を下げる。

王牙「……帰るんだな」

顔を上げると、笑みを浮かべ頷く。

ゆずる(戻るんだ。あの場所に、いるべき場所に……)