儚き少女は気高きあやかし王に愛されます


◯異界(王牙の屋敷)・リビング(和風)・朝・ゆずる。

畳の部屋にローテーブルがある部屋。壁には日本画の掛け軸など。
ゆずるがリビングに入ると、テーブルの上にてんこ盛りのご飯が用意されている。

真里「さあ、まずご飯を食べて。そんなひょろひょろじゃ、体力が持たないわよ」

ゆずるは座るとご飯をもぐもぐと食べ始める。

ゆずる(美味しい……こんなに美味しいご飯を食べたのは、いつぶりだろうか)

ゆずるモノ『酒屋では、残りものを食べさせてもらえるくらいだったから、お腹がいっぱいになるまでご飯を食べられたことなんてなかった』

ゆずるの目からポタポタと涙が出てきて、驚く真里。

真里「ちょっとどうしたのよ!」

ゆずるが涙を振り払っていると、優里がやってくる。
泣いているゆずるを見て焦る。

優里「真里、お前なに泣かせてんだよ!」
真里「違うわよ!」
優里「王牙様に怒られるだろ!早いとこ謝れって!」
真里「だから、私はなにもしてないってばっ!」

ゆずる【すいません、ご飯があまりにも美味しくて】

泣きながら笑顔でノートを見せてくるゆずるに、優里と真里は拍子抜けする。

優里「なんだよもう……紛らわしいやつだな」
真里「おかわりもあるから、いっぱい食べてね」

ゆずる【ありがとうございます】

ゆずるは再びノートを見せ頭を下げる。
優里と真里はゆずるの正面に腰を下ろすと一緒にご飯を食べる。

優里「そういえば、俺の自己紹介まだだったよな。俺は優里。気高い王牙様に仕えている犬神のあやかしだ。真里とは双子で、俺が兄貴」

ゆずる【黄瀬ゆずるです】

ゆずるは優里にノートを見せる。

優里「おう、よろしくなゆずる」

ゆずる(真里さんも優里さんも、とても親切にしてくれるけど、王牙様は、どうして私をこのお屋敷に連れてきてくれたんだろう)

そこに王牙がやって来て、ゆずるの隣に腰を下ろす。
王牙は何も食べずただ座ってる。

ゆずる(王牙様、食べないのかな……まさか、私がこんなに食べちゃってるから、王牙様の分がないのでは!?)

ゆずるは自分のお皿を王牙に差し出す。

真里「ゆずる、お腹空いてるんだから食べなよ」

ゆずる【いえ、私はもうお腹いっぱいなので、あとは王牙様に】

すると、ゆずるのお腹が鳴り、みんなびっくりする。

真里「やっぱりお腹空いてるんじゃん」

ゆずるが恥ずかしくて俯いていると、王牙はお皿をゆずるの目の前に戻す。

王牙「私は人間の食べ物は好かん。お前は好きなだけ食べろ」

そう言い、王牙ゆずるの頭に片手を置く。

ゆずる(……王牙様、お優しい)

ゆずる【ありがとうございます】