◯異界(王牙の屋敷)・夜・ゆずるside
格式高い和屋敷がいくつも立ち並ぶ城のある異界の中。
空には太陽がなく、恍惚と輝く月が出ていて、夜桜が咲き誇る。
【ヒロイン】黄瀬ゆずる(きせ ゆずる)人間。十六歳、長い黒髪を下で結んでいる、黒い瞳、小柄。戦争で両親を目の前で失ったショックで言葉を話せなくなった。
【ヒーロー】王牙(おうが)犬神のあやかしで人型。あやかし最強と謳われる犬神一族の当主、国を裏から牛耳るボス、白銀の長髪、顔にかかる長い前髪、月のような金色の瞳、尖った耳、鋭い爪、長身でスラリとした長い手足を、大の人間嫌い、人間加算で言うと二十歳、完全にあやかし化すると銀色の犬になる。
二人は立ちながら向かい合っている。
王牙「ゆずる、私の伴侶になってはくれぬか」
真摯な眼差しを向けながら、ゆずるに向かって片手を差し出す王牙。
ゆずる(伴侶……それって、奥さんてことだよね?)
ゆずるは驚き困惑しているが、美しい王牙に求婚され、頬は赤く染まっている。
ゆずるモノ『人間である私が、なぜ、大あやかしで人間嫌いだという彼に求婚されているのか』『それは分からないけど……』
差し出された王牙の手を取るゆずる。
ゆずる(……胸がぎゅーっと苦しくなる)
ゆずるモノ『私は彼を愛おしく思うのだ』

