「先輩、また本の話していいですか」
最近はテストで新しいものは読めていなかったけど、先輩と話したい本の話はまだたくさんある。
俺が尋ねると、先輩は俺のマフラーから頭を上げて、すぐに頷いてくれた。
「俺もしたい。今度一緒に本屋行こ」
「いいですね! 俺、本屋の文芸コーナーで平積みとおすすめ見るのすごい好きです」
「個性が出てる本屋って面白いよね。じゃあクリスマス、本屋でデートするのは?」
言われて俺ははっとした。
クリスマス。
ここで誘ってもらえるなんて思ってなかったからびっくりだけど、そういえばそんなイベントが目前だった。
付き合うとはいえ、クリスマスなんて大事な日に一緒にすごすのが俺でいいんだろうか。家族とか、友達との付き合いとか、ないのかな。
ほんとにいいのかなと思ったけど、先輩から本屋に行こうと言われたら、俺には答えは一つしかない。
「行きたいです。先輩はクリスマスそれでいいんですか?」
「それで、じゃなくて、それが、いいの。みずきと一緒にいたいから」
さらっとそんなセリフを言われると、不意を打たれて心臓に悪い。
「……はい。俺も先輩と一緒にいたいです」
照れながら答え、俺は大事なことに気づいた。
「あの、クリスマスプレゼントが本って、ありですか?」
付き合うなら、プレゼントって必須だよな。それならすぐに用意しないと間に合わない。先輩の好きな物とか雑貨はまだよく知らないけど、先輩の好みに合いそうな本なら買えるかも。
先輩は俺の質問に「いいね」と頷いた。
「だったら、本屋でそれぞれ推し本を選んで、プレゼントし合うのは?」
「あ、楽しそう。やりたいです」
「買うときは見せないようにして、後で俺の家行って同時に開封しよう」
「買った本被ってたらどうします?」
「無言で熱い抱擁を交わす」
真面目なトーンで答えた先輩に噴き出すと、先輩も楽しそうに笑ってくれる。
もうすぐ降りる駅につく。
見慣れた窓の外の景色は、今日からがらっと色を変えたように映るから不思議だ。
電車から見えるいつもの街は、昨日よりもいっそう輝いて見える。
これから帰りの電車に乗るたびに、俺は今日のことを思い出して嬉しくなるだろう。
明日からも毎日、先輩と会える。一隣に座って、本の話や、それ以外のこともいっぱい喋って、そうやって少しずつ先輩との思い出が増えていったらいい。
俺と先輩の日常が少し変わっても、きっと朝の電車の時間はこの先も変わらない。
そう思ったら、変わっていくことも楽しみだと思う。
車内のアナウンスが聞こえてくる。
新しい本の表紙を開くような気持ちで、俺の胸は弾み出す。
あと一駅。
先輩の隣で、俺は電車のドアが開くのを待っている。
最近はテストで新しいものは読めていなかったけど、先輩と話したい本の話はまだたくさんある。
俺が尋ねると、先輩は俺のマフラーから頭を上げて、すぐに頷いてくれた。
「俺もしたい。今度一緒に本屋行こ」
「いいですね! 俺、本屋の文芸コーナーで平積みとおすすめ見るのすごい好きです」
「個性が出てる本屋って面白いよね。じゃあクリスマス、本屋でデートするのは?」
言われて俺ははっとした。
クリスマス。
ここで誘ってもらえるなんて思ってなかったからびっくりだけど、そういえばそんなイベントが目前だった。
付き合うとはいえ、クリスマスなんて大事な日に一緒にすごすのが俺でいいんだろうか。家族とか、友達との付き合いとか、ないのかな。
ほんとにいいのかなと思ったけど、先輩から本屋に行こうと言われたら、俺には答えは一つしかない。
「行きたいです。先輩はクリスマスそれでいいんですか?」
「それで、じゃなくて、それが、いいの。みずきと一緒にいたいから」
さらっとそんなセリフを言われると、不意を打たれて心臓に悪い。
「……はい。俺も先輩と一緒にいたいです」
照れながら答え、俺は大事なことに気づいた。
「あの、クリスマスプレゼントが本って、ありですか?」
付き合うなら、プレゼントって必須だよな。それならすぐに用意しないと間に合わない。先輩の好きな物とか雑貨はまだよく知らないけど、先輩の好みに合いそうな本なら買えるかも。
先輩は俺の質問に「いいね」と頷いた。
「だったら、本屋でそれぞれ推し本を選んで、プレゼントし合うのは?」
「あ、楽しそう。やりたいです」
「買うときは見せないようにして、後で俺の家行って同時に開封しよう」
「買った本被ってたらどうします?」
「無言で熱い抱擁を交わす」
真面目なトーンで答えた先輩に噴き出すと、先輩も楽しそうに笑ってくれる。
もうすぐ降りる駅につく。
見慣れた窓の外の景色は、今日からがらっと色を変えたように映るから不思議だ。
電車から見えるいつもの街は、昨日よりもいっそう輝いて見える。
これから帰りの電車に乗るたびに、俺は今日のことを思い出して嬉しくなるだろう。
明日からも毎日、先輩と会える。一隣に座って、本の話や、それ以外のこともいっぱい喋って、そうやって少しずつ先輩との思い出が増えていったらいい。
俺と先輩の日常が少し変わっても、きっと朝の電車の時間はこの先も変わらない。
そう思ったら、変わっていくことも楽しみだと思う。
車内のアナウンスが聞こえてくる。
新しい本の表紙を開くような気持ちで、俺の胸は弾み出す。
あと一駅。
先輩の隣で、俺は電車のドアが開くのを待っている。
