「先にみずきに声かけたの、俺だって覚えないの?」
「そういえば、そうですね」
「そうだよ。ずっと気になってたから話してみたくて」
「それは俺もです」
「本読んでるとき、みずき、たまに表情に出ちゃうじゃん」
「え、そうですか?」
「うん。ハラハラしてるのが顔に出てたり、くすって笑ったりするのが可愛いって思ってた」
「かわ……」
見られてたのは普通に恥ずかしい。でも、先輩に可愛いって言われるとついキュンとしてしまう。
相手が先輩なら嬉しいって、ちょっと乙女顔する俺が俺の中に現れるんだけど、前田とは全然違うなって思うのはやっぱり好きだからなんだろうか。
むずむずするような高揚感を感じながら、俺はマフラーを下げて先輩に笑いかけた。
「俺も、朝先輩に会えなくて、寂しかったです」
さっき通話越しに言えなかった言葉を、いま返す。
先輩は目を細めて、「うん」と嬉しそうに頷いてくれた。
「俺も電車でみずきが隣にいないと寂しい」
そのときアナウンスが流れて、電車がまた一本、ホームに滑り込んできた。
もう抱き締められてはいないから、隠れたりしなくても大丈夫だ。電車が止まって走り出していくのをぼやっと眺め、行ってしまうまでは少しうるさいので会話が自然に途切れる。
乗り降りする人がぱらぱらといて、数人が階段を上っていくのが見えた。利用者はまだ少ないから、ホームはすぐ静かになる。
「……ほんとに、先輩も俺のこと好きなんですね?」
いまだにこれが夢なんじゃないかと思ってしまうので、同じことを聞いてしまう俺に先輩は迷いなく頷いてくれる。
「うん、好き」
即答されて俺はふわっと気持ちが弾んでときめいた。
これが両想いってやつ?
俺達本当に両想いだったんですね! っていう、なんかどっかでデジャヴするフレーズが頭の中に浮かんだ。
好きだって。
先輩も俺のこと、好きなんだ。
どうしよう、すごく嬉しい。
「あのね、前にも言ったけど」
必死に表情を保っているけど、際限なくにやけてしまいそうになる俺に、先輩が言う。
「俺は好きな子のこと隠したいタイプだから。理由はまあ、前に色々あったからなんだけど、俺が知り合いの前でみずきと話さないのはみずきに嫌な思いさせたくないだけだから。これからもしそういう場面あっても、心配しないで」
「あ、はい。実は胡桃ちゃんにその話聞いてました」
「え?」
俺は昨日胡桃ちゃんに会ったことと、先輩の彼女が誰なのか聞かれた、という話を打ち明けた。
「あいつ勝手に……」
「あの、先輩には彼女はいないってことでいいんですよね?」
「いないよ。俺が好きなのみずきだから」
わかっていてもおそるおそる聞いた俺に、先輩はきっぱりと答えてくれる。
俺がほっとして笑みを浮かべたら、じっと見つめてくる先輩はふ、と微笑んだ。
「まぁ、純粋にみずきが可愛いから誰にも見せたくないっていうのが隠したい理由の大半なんだけど。余計な奴に関心持たれたくないし」
「え……」
なんだこれ。
さっきからときめきすぎて致死量のドキドキを摂取してる気がする。昨日からずっと、過去最高を更新してるんだけど、俺は大丈夫なのか。
意思に反して目尻にじわっと水分が溜まってくるほどのドキドキで、何度も瞬きする俺を優しい目で眺め、先輩が目を細めた。
「だから、みずきは俺のことだけ見てればいいからね」
真顔でそんなことを言われるから、もっと頬が熱くなった。
浮ついた感情を外に出さないと、空気吸ってるはずなのにホームで溺れちゃいそう。
「俺だって、先輩のこと誰にも見てほしくないんです……」
思い切って、今までひっそり思っていたことを呟いた。
だってそうだろ。
俺の方がもっと深刻だ。
先輩は立っているだけでかっこいいし、周りには可愛い女の子達がうじゃうじゃ集まってくるんだから、俺は先輩が歩いて息してるだけでずっと心配なんだ。
先輩はぱち、と瞬きしてにこっと笑った。
「ほんと? 嬉しい」
機嫌よさそうにしている先輩の顔が相変わらず見惚れるほど綺麗で、俺と違って全然余裕そうに見えるからちょっと悔しい。
「だって、先輩モテるじゃないですか」
「みずきにモテたならよかった。これで好きになってもらえなかったらモテモテ詐欺じゃんって怒ってたから」
「なんですかそれ」
「今まであなたモテますよモテますよってずっと言い聞かされてきたのに、実は本命にはモテませんから残念ですね、みたいな」
「……ふ」
「ごめ、俺やっぱテンション上がりすぎておかしくなってるかも」
「ふふ」
下を向いて噴き出すのを堪えていると、先輩も「脱線した、ほんとごめん」と笑っている。
「そういえば、そうですね」
「そうだよ。ずっと気になってたから話してみたくて」
「それは俺もです」
「本読んでるとき、みずき、たまに表情に出ちゃうじゃん」
「え、そうですか?」
「うん。ハラハラしてるのが顔に出てたり、くすって笑ったりするのが可愛いって思ってた」
「かわ……」
見られてたのは普通に恥ずかしい。でも、先輩に可愛いって言われるとついキュンとしてしまう。
相手が先輩なら嬉しいって、ちょっと乙女顔する俺が俺の中に現れるんだけど、前田とは全然違うなって思うのはやっぱり好きだからなんだろうか。
むずむずするような高揚感を感じながら、俺はマフラーを下げて先輩に笑いかけた。
「俺も、朝先輩に会えなくて、寂しかったです」
さっき通話越しに言えなかった言葉を、いま返す。
先輩は目を細めて、「うん」と嬉しそうに頷いてくれた。
「俺も電車でみずきが隣にいないと寂しい」
そのときアナウンスが流れて、電車がまた一本、ホームに滑り込んできた。
もう抱き締められてはいないから、隠れたりしなくても大丈夫だ。電車が止まって走り出していくのをぼやっと眺め、行ってしまうまでは少しうるさいので会話が自然に途切れる。
乗り降りする人がぱらぱらといて、数人が階段を上っていくのが見えた。利用者はまだ少ないから、ホームはすぐ静かになる。
「……ほんとに、先輩も俺のこと好きなんですね?」
いまだにこれが夢なんじゃないかと思ってしまうので、同じことを聞いてしまう俺に先輩は迷いなく頷いてくれる。
「うん、好き」
即答されて俺はふわっと気持ちが弾んでときめいた。
これが両想いってやつ?
俺達本当に両想いだったんですね! っていう、なんかどっかでデジャヴするフレーズが頭の中に浮かんだ。
好きだって。
先輩も俺のこと、好きなんだ。
どうしよう、すごく嬉しい。
「あのね、前にも言ったけど」
必死に表情を保っているけど、際限なくにやけてしまいそうになる俺に、先輩が言う。
「俺は好きな子のこと隠したいタイプだから。理由はまあ、前に色々あったからなんだけど、俺が知り合いの前でみずきと話さないのはみずきに嫌な思いさせたくないだけだから。これからもしそういう場面あっても、心配しないで」
「あ、はい。実は胡桃ちゃんにその話聞いてました」
「え?」
俺は昨日胡桃ちゃんに会ったことと、先輩の彼女が誰なのか聞かれた、という話を打ち明けた。
「あいつ勝手に……」
「あの、先輩には彼女はいないってことでいいんですよね?」
「いないよ。俺が好きなのみずきだから」
わかっていてもおそるおそる聞いた俺に、先輩はきっぱりと答えてくれる。
俺がほっとして笑みを浮かべたら、じっと見つめてくる先輩はふ、と微笑んだ。
「まぁ、純粋にみずきが可愛いから誰にも見せたくないっていうのが隠したい理由の大半なんだけど。余計な奴に関心持たれたくないし」
「え……」
なんだこれ。
さっきからときめきすぎて致死量のドキドキを摂取してる気がする。昨日からずっと、過去最高を更新してるんだけど、俺は大丈夫なのか。
意思に反して目尻にじわっと水分が溜まってくるほどのドキドキで、何度も瞬きする俺を優しい目で眺め、先輩が目を細めた。
「だから、みずきは俺のことだけ見てればいいからね」
真顔でそんなことを言われるから、もっと頬が熱くなった。
浮ついた感情を外に出さないと、空気吸ってるはずなのにホームで溺れちゃいそう。
「俺だって、先輩のこと誰にも見てほしくないんです……」
思い切って、今までひっそり思っていたことを呟いた。
だってそうだろ。
俺の方がもっと深刻だ。
先輩は立っているだけでかっこいいし、周りには可愛い女の子達がうじゃうじゃ集まってくるんだから、俺は先輩が歩いて息してるだけでずっと心配なんだ。
先輩はぱち、と瞬きしてにこっと笑った。
「ほんと? 嬉しい」
機嫌よさそうにしている先輩の顔が相変わらず見惚れるほど綺麗で、俺と違って全然余裕そうに見えるからちょっと悔しい。
「だって、先輩モテるじゃないですか」
「みずきにモテたならよかった。これで好きになってもらえなかったらモテモテ詐欺じゃんって怒ってたから」
「なんですかそれ」
「今まであなたモテますよモテますよってずっと言い聞かされてきたのに、実は本命にはモテませんから残念ですね、みたいな」
「……ふ」
「ごめ、俺やっぱテンション上がりすぎておかしくなってるかも」
「ふふ」
下を向いて噴き出すのを堪えていると、先輩も「脱線した、ほんとごめん」と笑っている。
