◇
そうして、季節は本格的に冬を迎え、十二月になった。
めっきり寒くなって、ホームで電車を待つのがキツい。春川先輩は寒がりらしく、毎朝肩をすくめながら乗ってきて、俺の横にくっついて暖を取るようになった。
「おはよ。寒い~。みずき、熱分けて」
「おはようございます。大丈夫ですか?」
「うん。人のぬくもりあったか……」
俺が巻いてるマフラーに顔を埋めるくらい頭をくっつけてくるから、俺はそのたびにこっそり動揺している。
なんというか、俺は最近、いや前からそうだったような気もするけど、先輩が近くにいるとドキドキして手汗がすごくなる。
先輩はかっこいいから誰でもこうなるだろって言われたらそれまでなんだけど、もう少しこう、多分特別な感じなんだ。
これって、仲のいい先輩に対して思う気持ちとして、普通?
最近俺は先輩が電車を降りてくたびに寂しくなっちゃって、学校でも家でもメッセージアプリの通知を気にしちゃうんだけど。
初めて先輩の家にお邪魔してから、自分の先輩への感情に戸惑っている。
あれから家に行くことはないけど、スマホでのやり取りはすごく増えた。
本の感想とか、スマホゲームの攻略法とか、どうでもいいことでも聞いたら先輩は答えてくれるし、先輩も結構頻繁に送ってくれる。
『いま何してる?』
と聞かれるのが、一番嬉しい。
先輩からそのメッセージが来ると、大抵先輩は家でゴロゴロしてるみたいで、返事をしたらすぐに先輩からも返ってくる。三十分から一時間くらい、トーク画面でやり取りできる。
何してる? が来ると、「来た~!」って嬉しくなる。
それを楽しみにしてる俺って、まさかなんだけど、もしかして、先輩のこと好きだったりする……?
男の先輩に感じる気持ちとしては、ちょっとどうなのって最近疑問を覚えるんだけども。
だって、黒木や前田、中学のときの仲良かった友達には、こんな気持ちになったことない。
それとも先輩がイケメンすぎるから、憧れの先輩に接する感覚でいちいち感情が高まってるだけなのかな。
同性だし、今まで誰かを好きになったことがないから、これがどういう気持ちなのか、わからなくて戸惑ってる。
「みずき、そういえばこれあげる」
回想していたら先輩に話しかけられて我に返った。
先輩が俺のマフラーから頭を離し、鞄の中からキーホルダーを一つ取り出して、見せてきた。
「えっ、ひじき!」
見せてくれたのは俺の推しキャラである、箸休め一族のひじきだった。
「週末にガチャガチャあったから、やってみたら出た」
「ほんとですか? あれ結構種類あってひじき出すの大変なのに、すごいです」
「俺多分、運はいい方」
「日頃の行いですかね」
「褒めてくれてる? ありがとう」
先輩がひじきをくれると言うので、恐縮しながら受け取り、俺は自分もリュックの中からあるものを取り出した。
「あの、お返しみたいになっちゃうんですけど、俺もこれ」
「ねこ?」
俺も週末に、本屋に行ったら先輩がよくスタンプで送ってくれるブサ猫のシールが売っていたから、つい買っていた。
「たまたま本屋で見つけたので。シール使う機会ないかもしれないんですけど」
「ゲームとかに貼る。ありがと」
「あと、もらっておいてあれなんですけど、俺……」
シールを先輩に渡し、俺はリュックのポケットから家の鍵を取り出した。
そこには、今先輩にもらったひじきと同じキーホルダーがついている。
そうして、季節は本格的に冬を迎え、十二月になった。
めっきり寒くなって、ホームで電車を待つのがキツい。春川先輩は寒がりらしく、毎朝肩をすくめながら乗ってきて、俺の横にくっついて暖を取るようになった。
「おはよ。寒い~。みずき、熱分けて」
「おはようございます。大丈夫ですか?」
「うん。人のぬくもりあったか……」
俺が巻いてるマフラーに顔を埋めるくらい頭をくっつけてくるから、俺はそのたびにこっそり動揺している。
なんというか、俺は最近、いや前からそうだったような気もするけど、先輩が近くにいるとドキドキして手汗がすごくなる。
先輩はかっこいいから誰でもこうなるだろって言われたらそれまでなんだけど、もう少しこう、多分特別な感じなんだ。
これって、仲のいい先輩に対して思う気持ちとして、普通?
最近俺は先輩が電車を降りてくたびに寂しくなっちゃって、学校でも家でもメッセージアプリの通知を気にしちゃうんだけど。
初めて先輩の家にお邪魔してから、自分の先輩への感情に戸惑っている。
あれから家に行くことはないけど、スマホでのやり取りはすごく増えた。
本の感想とか、スマホゲームの攻略法とか、どうでもいいことでも聞いたら先輩は答えてくれるし、先輩も結構頻繁に送ってくれる。
『いま何してる?』
と聞かれるのが、一番嬉しい。
先輩からそのメッセージが来ると、大抵先輩は家でゴロゴロしてるみたいで、返事をしたらすぐに先輩からも返ってくる。三十分から一時間くらい、トーク画面でやり取りできる。
何してる? が来ると、「来た~!」って嬉しくなる。
それを楽しみにしてる俺って、まさかなんだけど、もしかして、先輩のこと好きだったりする……?
男の先輩に感じる気持ちとしては、ちょっとどうなのって最近疑問を覚えるんだけども。
だって、黒木や前田、中学のときの仲良かった友達には、こんな気持ちになったことない。
それとも先輩がイケメンすぎるから、憧れの先輩に接する感覚でいちいち感情が高まってるだけなのかな。
同性だし、今まで誰かを好きになったことがないから、これがどういう気持ちなのか、わからなくて戸惑ってる。
「みずき、そういえばこれあげる」
回想していたら先輩に話しかけられて我に返った。
先輩が俺のマフラーから頭を離し、鞄の中からキーホルダーを一つ取り出して、見せてきた。
「えっ、ひじき!」
見せてくれたのは俺の推しキャラである、箸休め一族のひじきだった。
「週末にガチャガチャあったから、やってみたら出た」
「ほんとですか? あれ結構種類あってひじき出すの大変なのに、すごいです」
「俺多分、運はいい方」
「日頃の行いですかね」
「褒めてくれてる? ありがとう」
先輩がひじきをくれると言うので、恐縮しながら受け取り、俺は自分もリュックの中からあるものを取り出した。
「あの、お返しみたいになっちゃうんですけど、俺もこれ」
「ねこ?」
俺も週末に、本屋に行ったら先輩がよくスタンプで送ってくれるブサ猫のシールが売っていたから、つい買っていた。
「たまたま本屋で見つけたので。シール使う機会ないかもしれないんですけど」
「ゲームとかに貼る。ありがと」
「あと、もらっておいてあれなんですけど、俺……」
シールを先輩に渡し、俺はリュックのポケットから家の鍵を取り出した。
そこには、今先輩にもらったひじきと同じキーホルダーがついている。
