願いのその先



「……綺麗」

その小さいつぶやきが聞こえた瞬間、私は弾かれたように「そうですよねっ!」と言っていた。

メガネの奥の、驚きに見開かれた瞳が私を捉える。

「私も、デイジーが好きなんです。だからこの公園、私のお気に入りで。この子と仲良くなったのも、デイジーのおかげだし」

矢継ぎ早に話す私を、じっと見る彼女。

途端に恥ずかしくなり、「ご、ごめんなさい……」と視線をそらす。

しかし彼女は、「だいじょうぶ」と言ってくれた。

「あなたたち、中学2年生?」

「あ……はい」

「私も。だから、敬語じゃなくていいよ」

淡々と言うけれど、嫌がられてはいない顔と口調なので嬉しくなる。

「うん、分かった!えっと、私、夏目凛花」

「有坂美衣菜だよっ」

私の自己紹介に続けるように、美衣菜が言う。

そこで美衣菜のことを置き去りにしてしまったことに気づいたが、彼女は私の不安を察したのかウィンクしてくれた。

私は『ありがとう』の意味を込めてこくりと頷き、彼女に向き直る。

「よかったら……あなたの名前も、教えてもらっていい?」