願いのその先



――「準備体操の前に、今日は寒いから2周走れー」

1時間目は、体育だ。

暖房も設置していない体育館に、体育教師のおっさん・鴨田(かもた)の声が響く。

教師は生徒の手本なんだから自分も走れよ。

半袖半ズボンの体操着のあたしたち生徒を前に、自分だけ長袖長ズボンでちゃっかり上着も羽織っている鴨田に毒づく。

口に出したらめんどくさそうなので、心の中で。

だから鴨田になにも伝わるはずもなく、仕方なくあたしたちは走り出した。

いつもは柚乃と走っている。

しかし絶交したから、今日はもちろん別々だ。

寂しくともなんともないけど、と思った時に4人があたしを追い越した。

その中に柚乃がいるのが見えてしまい、思わず眉をしかめる。

あたしと絶交させられたことにより、柚乃は女子3人のグループに入れてもらったらしい。

その3人と固まってあたしを追い越すなんて、当てつけ?

そう考えると猛烈にイラついた。

あたしは軽くチッと舌打ちをする。

けれど、ハッとして後ろを見た。

……いた。

さりげなく足の動きを遅め、彼女の隣に並ぶ。