孵化から始まる転生もふもふヒナ日記〜弟が◯◯でも、兄ちゃんは気づかない〜


まるまると太ったバッタ(?)を咥え、颯爽と飛んで現れたかっこいい雄の――たぶん若い鳥さん。
大きさはパパと同じか、ちょっぴり小さいかなぁ、くらい。俺たち雛よりは大きいけどね。

……いまさらだけど。もしや俺たちって、スズメなの?
パパとママは時々ちゅんちゅん鳴いてるし、特にパパは赤茶色と白と黒の配色だ。
ママは全体的に淡い灰色というか、茶色味が薄くて白っぽい。目の横におしゃれなラインが入ってるよ。
オスとメスで違うのかな。弟妹たちも色味が分かれてるし。

若鳥さんはパパと同じ配色で、やや薄め。大人になると色が濃くなるのかも。

皆、何となくスズメっぽいんだけど別の鳥みたいにも見える。微妙に俺の知ってるスズメとは違うような。
うーん?
あ。ほっぺの黒い模様がないや。


(ごはん! 大きい兄ちゃん、ちょーだいっ)
(大きい兄ちゃん、大きいごはん)
(ごはん)
(ごはん)


そんな俺の疑問や発見はさておき、弟妹たちが大騒ぎしながら若鳥さんに群がってる。
大きい兄ちゃん? えっと、皆の知り合いなの?
うわぁ、ごはんのバッタが大きすぎて、引っ張り合いが始まった。
皆、仲良く分けて食べなさいっ。


(あ。お前が『小さい兄ちゃん』か。よろしくな、俺の新しい弟)

「ぴぃ?」


……小さい兄ちゃん、ってなに?


  ***


衝撃の事実。実は俺、長男じゃなかった。
今年の春生まれの兄姉たちが先にいて、次に生まれたのが初夏生まれの俺たちなんだって。
鳥の種類にもよるけど、ママはなんと年に数回、春から夏にかけてたくさん卵を産むらしい。めちゃくちゃ大家族!

つまり『大きい兄ちゃん』は本物のお兄ちゃんだった。
それも春グループの長男。俺は初夏グループの長男ね。

今は、巣穴の外で新しい弟妹雛たちのお世話を手伝っているんだって。
だから皆、俺より先に顔見知りになったのかぁ。


「ぴぃぴぃぴい♪」

(よしよし、もっと大きいごはん持ってきてやるから。楽しみに待ってろよ)


そう言ってカッコよく飛び立つお兄ちゃん。そう、お兄ちゃん。
ふふふ。なんと、俺にもお兄ちゃんができたのだ。やったぁ♪
絶対に無理だと思ってたのに、まさかだよね。めちゃくちゃ嬉しい。

飛ぶのも上手くて速くてキレがあるし、姿形もなんかシュッとしててキリッとした感じが鳥界の美形っぽくて、かっこいい。しかも頼りがいがあって優しい。
会ったばかりだけど俺もう、大きいお兄ちゃんが大好き!


「…………」

「ぴ、ぴいぃ!?」


ちょっ、なんで突っつくの、痛いからやめてよおぉ。
目をつり上げてめちゃくちゃ不機嫌な末っ子と、頭を突かれまくる俺。

それを見た弟妹たちが遊びと勘違いして、俺を追いかけ始める。わわっ、逃げろおぉ!


そんな微笑ましい(?)光景は、パパやママ、大きいお兄ちゃんが美味しいごはんを持ってきてくれるまで続いたのだった。つ、疲れた……。


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