いつにも増して不機嫌そうな目つきの悪さ。それと、必死に何かを我慢しているような、葛藤するような、ちょっと変な感じ。
「ぴい!」
そうか、きっとこれは俺への嫉妬だな。
自分もパパとママに甘えたいのに『お兄ちゃんばっかりズルい。いーもん、僕は一羽でもさみしくないもん』って拗ねてるのか。俺より大きくなっても、やっぱり末っ子は可愛いなぁ。
ほら、おいでおいで。お前もお兄ちゃんと一緒にパパとママに甘えよう?
あ、プイってそっぽ向いちゃった。やっぱり恥ずかしいのかな。
ああもう。可愛いけど、本当に素直じゃないんだからっ。
俺はぴょんと末っ子のとこへ行き、頭突きするみたいに頭で押して皆のとこまで連れてくる。
パパママ、意地っ張りで可愛い末っ子にも羽づくろいとごはんお願いします!
だけど、なぜか首をかしげるパパとママ。
末っ子はジロリと俺を見て、もう何度目かのため息を吐く。
(うちの子の匂い、巣穴の匂い、するけど)
(声を聞かないと、分からない。鳴かない子は、お腹空いてない)
え。
パパとママは匂いと鳴き声で自分の子どもを認識してたの?
それに鳴かないと、ごはんくれないの?
じゃあ、孵化してから一度も鳴かない(たぶん声が出せない)末っ子は……。
ほらみろ、とでも言いたそうな目で俺を見る末っ子。
でも、そんなの……。だったら、俺は。
「っ!?」
ほら、口開けて。俺がもらったごはん(青虫)だけど、全部あげるね。これで実質ママからごはんをもらったのと一緒だよ。
羽づくろいも俺が毎日やってあげるね。
俺、お前のお兄ちゃんだから、パパとママのぶんまでいっぱい可愛がってあげるし。だから、もっともっと甘えていいからね。
大丈夫、お兄ちゃんと一緒なら全然さみしくないよ。
お兄ちゃんが、ずーっとそばにいるからね。
「……」
驚いたみたいに、目を見開く末っ子。
動かなくなったと思ったら、一瞬で俺のくちばしからごはんを奪い、そのまま丸呑みにする。
ああもう、慌てなくても大丈夫なのに。ゆっくり味わって食べていいんだよ。
(兄ちゃんが、末っ子に、ごはんあげた)
(兄ちゃん、僕も)
(わたしにも、ちょーだい、兄ちゃん)
(末っ子だけ、ズルいっ)
「ぴ、ぴぃ……」
俺と末っ子のやり取りを見ていた弟妹たちが、ぴーぴーチーチーと騒ぎ出す。
えっと、ごめん。もうない。
食いしん坊なお前たちは、普通にパパとママにねだってくれ。だから末っ子も、お前の兄や姉を威嚇しちゃ駄目だってば!
「チュ、チュ、チチッ(お前ら、ごはんあるぞー)」
そこへ現れたのは、さっき助太刀に来てくれたあの鳥だった。
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