ともかく目つきは悪いし生まれた直後からふてぶてしいというか、全く鳴かない。
それを気味悪がったのか、パパとママ鳥や弟妹(※末っ子にとっては兄姉)雛たちも近寄ろうとしない。
え、待って、これってつまり育児放棄?
ただでさえ生まれたてで体力つけなきゃならないのに、ごはんをもらえなければすぐ死んじゃうだろ。
俺は慌てて末っ子をせっつく。
おい、お前、ちゃんと甘えてパパとママに「ご飯ちょうだい」しろって! あ、駄目だわ。めっちゃ睨まれた。お兄ちゃんに対して何たる態度だ、こいつ。
しょうがなく俺は末っ子のとなりに陣取り、少し冷えた体を温めてやってから、自分のごはんを「半分こ」した。けっして、親鳥からもらう虫が気持ち悪くて押しつけたわけではない。
いや、美味しいよ? 栄養あるし元気も出るけど、目が開いてからはやっぱ生理的に、ね?
***
俺の努力の甲斐あって、末っ子はすくすくと成長した。そして、あっという間に俺よりでかくなった。孵化直後は俺より微妙に小さかったのに、今や俺の倍以上でかい。なんで?
というより俺が小さいのかも。他の弟妹たちと比べても小さいしな、長男なのに……。
やがて皆どんどん大きくなって、じゃれたりケンカしたり、まだ飛べない翼をぱたぱたさせたりと、巣の中は毎日にぎやかだ。
そうして、しばらくすると一羽、二羽と巣を出て外へ行ってしまう。つまりは巣立ち。
えー、やだやだ待ってよ、お兄ちゃんを置いてかないでっ。
俺と末っ子以外の弟妹たちが巣の外で生活するようになると、パパとママはほとんど巣に来なくなった。
え、嘘だろ、俺らのごはんは?
ぴーぴー鳴いても何ももらえず、俺はどんどん衰弱していく。皆より成長が遅く、まだ飛ぶこともできないただの小さな雛鳥。それが今の俺。
あ、これはすぐ死んじゃうかも。と諦めかけていたら、末っ子がどこからか何かを咥えて持ってきた。
うわぁ、これって木の実? 小さな果物? よく分かんないけどめちゃくちゃ美味しいぃ。
どんどん食えとばかりに俺の口(くちばし)に押しつけてくる、末っ子。
お、お前……お兄ちゃんは嬉しいぞ。そうか、きっとこれはお礼だな。俺の兄弟愛が伝わったんだ。無口で何も話さない(鳴かない)目つきの悪い弟雛よ、一緒に生き残ろうな!
***
それからまた何日かすると、ようやく俺も元気になり巣立ちのときを迎えたっぽい。ちょい未熟ながら翼をぱたぱたさせて、おおっ、飛べそう。うふふん。俺は今、鳥になる! あ、すでに鳥だった。
羽ばたきの練習をするお兄ちゃんの姿を、横でじっと見つめる末っ子。何やら頷いてるけど。そ、そうか、俺の勇姿に感動してるんだな。可愛いやつめ。
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