火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~

 頭を整理したいが、今は考えごとをしている時はない。
 久遠は祖父に手首を掴まれ、強引に地面を引きずられる。

「放して下さい!」
「駄目だ。お前は燦王の后となる。今日、この場でな!」
「やめて! 燦様の后は、僕じゃない! 花緒様をどうする気!?」
「黙れ!」

 祖父が久遠の頬に平手打ちをする。あまりの強さに、久遠の意識がふっと遠のいた。
 その瞬間――祖父の手を通じて久遠の頭の中に記憶がなだれ込んでくる。

 燃える屋敷、叫ぶ女性、泣き叫ぶ少女。
 燦の夢見をした時よりも、鮮明に見える。