「終わった……! そうだ、嵐は?」
天禄殿の戸まで走り、空を見上げる。雲はない。
遠くの空を見渡しても、嵐をもたらすような黒雲は一つも見えなかった。
辺りはむしろ、風一つなく、静かで穏やかな空気に包まれている。
「何もない……本当に、嵐は起こらなかった」
「俺の言った通りだろう?」
「はい、良かったです。嵐が起こった時のために、都の民に向けて触書も出していませんでしたし――」
と、久遠が言ったその時。
無風だった天禄殿に、突然ぴゅうっと風が通った。
久遠が肩に掛けていた領巾が宙に舞う。慌てて手を伸ばすと、久遠は足を滑らせて階段から転げ落ちた。
「危ない!」
数段の階段をずり落ち、地面に落ちる――そう思って身構えたのに、久遠の体はどこも痛くない。
目を開けると、久遠の体は燦に抱きかかえられていた。燦が久遠を守るようにして、地面に倒れて下敷きになったらしい。
「燦様……!」
天禄殿の戸まで走り、空を見上げる。雲はない。
遠くの空を見渡しても、嵐をもたらすような黒雲は一つも見えなかった。
辺りはむしろ、風一つなく、静かで穏やかな空気に包まれている。
「何もない……本当に、嵐は起こらなかった」
「俺の言った通りだろう?」
「はい、良かったです。嵐が起こった時のために、都の民に向けて触書も出していませんでしたし――」
と、久遠が言ったその時。
無風だった天禄殿に、突然ぴゅうっと風が通った。
久遠が肩に掛けていた領巾が宙に舞う。慌てて手を伸ばすと、久遠は足を滑らせて階段から転げ落ちた。
「危ない!」
数段の階段をずり落ち、地面に落ちる――そう思って身構えたのに、久遠の体はどこも痛くない。
目を開けると、久遠の体は燦に抱きかかえられていた。燦が久遠を守るようにして、地面に倒れて下敷きになったらしい。
「燦様……!」

