火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~

 合議(ごうぎ)の場に入ると、既に五主家の面々が集まっていた。
 御座には、既に燦が花緒と並んで座っている。久遠が父の後ろに座ろうとすると、燦が久遠を呼び止めた。

「久遠はこっちだ。これから、今朝の夢見のことを皆に伝える」
「はい……では、そちらに参ります」

 五主家の当主よりも上座に呼ばれ、久遠は狼狽(うろた)えた。しかし、王の命令ならば従うしかない。燦から指示された場所に座って父に目をやると、父の顔は怒りで真っ赤に燃えていた。

燦王(さんおう)! 我が息子の久遠は、まだ覡として半人前であると昨日申し上げました。五主家の皆様にお伝えになる前に、先に私のほうで久遠の夢見の結果を確かめたいと存じます。しばしお待ちいただけませんでしょうか」
「その必要はない。既に夢見の結果については直接久遠から聞いている。其方(そなた)と話をしたところで、昨日見た夢が今さら変わるわけでもあるまい?」
「しかし、久遠が夢を正しく解することができているのかどうか――」

 父が諦めず燦に食い下がろうとすると、横から碧李(あおい)輝比佐(てるひさ)がぴしゃりと止めた。

「十六夜殿。分をわきまえられよ。あえて言うまでもないが、この合議は五主家の当主によるもの。無関係の十六夜がこれ以上何か発言するようなら、ご退出願いたい」
「ああ……」

 父が何も言えなくなりどもっているうちに、輝比佐はさっさと燦に向き直った。

「さあ、燦王。結果はいかがか」
「ああ。皆も聞いてくれ。十六夜久遠による夢見の結果、俺の后となる者は、その胸に()を抱く者――天は、そのように示された」

 燦ははっきりと言い切った。しかし、主家の当主たちはにわかに理解ができないようで、呆気(あっけ)に取られている。
 燦の話にまだ続きがあるのではないかと黙って待っている彼らを見ると、久遠は申し訳なさでいっぱいになった。