「喜んでいただけて何よりです。これが、桔梗姫から預かった文です。ご主人様にお渡しください」
一葉が両手で文を差し出すと、なぜか石川は照れたように顔を真っ赤にして受け取った。
なぜだろう。石川宛ではなく、石川の主に宛てたものなのだが。
「しかと受け取りました。必ずお渡しします」
「はい、ありがとうございます。石川様、それでは失礼致しますね」
「……あっ、一葉さん!」
石川に背を向けた途端、大きな声で呼び止められた。
「まだ、何かありましたか?」
「あ、いえ、その……石川というのは私の家名でして、名は都季臣と言います」
「都季臣様……美しいお名前ですね」
「はい。これからはぜひ、名前で呼んでいただけたらと。それと、ええっ、ああ……今日は、とても綺麗に……晴れていますね」
「……ええ、そうですね」
一葉は空を見上げた。
大桜の花びらが、春の風にひらひらと舞っている。
(雲一つない晴れ……そう言えば、ここ最近、嵐が一度も来ていないわ)
一葉が両手で文を差し出すと、なぜか石川は照れたように顔を真っ赤にして受け取った。
なぜだろう。石川宛ではなく、石川の主に宛てたものなのだが。
「しかと受け取りました。必ずお渡しします」
「はい、ありがとうございます。石川様、それでは失礼致しますね」
「……あっ、一葉さん!」
石川に背を向けた途端、大きな声で呼び止められた。
「まだ、何かありましたか?」
「あ、いえ、その……石川というのは私の家名でして、名は都季臣と言います」
「都季臣様……美しいお名前ですね」
「はい。これからはぜひ、名前で呼んでいただけたらと。それと、ええっ、ああ……今日は、とても綺麗に……晴れていますね」
「……ええ、そうですね」
一葉は空を見上げた。
大桜の花びらが、春の風にひらひらと舞っている。
(雲一つない晴れ……そう言えば、ここ最近、嵐が一度も来ていないわ)

