「それは……確かにそうですが、今は関わりのない話では?」
兄の子は確かに三人とも男児である。それが、十六夜が天から受けた罰によるものだとは知らなかったが。
主家から追われた十六夜が日紫喜に嫁ぎ、王家に血を残すことを避けるための呪いではないだろうか。
祖父は何を言いたいのか――汲み取れずにいると、祖父の目に月が映ってギラリと光った。
「儂は天意を尊重し、女であるお前のことも男として育てた。十六夜は日紫喜家に対し、后を輩出する意図はないという恭順の証だ。十年前の償いは、お前がしっかりとやってくれたよ」
「そ、そんな馬鹿なこと……」
祖父と父の犯した罪を、なぜ一葉が代わりに償わなければならないのか。
燦の母、蘇芳姫を殺めたのは一葉ではない。
一葉の母、香宵姫のこともそうだ。
(十六夜の罪を、なぜ私が――いや、違う)
一葉も十六夜家の一員なのだ。
天から宝物を授かる代わりに、主家は綺羅の安寧を守る責を負う。
天や他の主家から見れば、祖父と一葉も同じ十六夜。
祖父や父が罪を償うのではない。十六夜が償うのだ。
一葉は、罪を免れない。
「一葉! しっかりしろ!」
かき乱された一葉の心に、燦の声が響く。
燦はいつもこうだ。内なる世に閉じこもり、我を忘れそうになった一葉を、現世に引き戻してくれる。
燦は膝を突き、祖父の胸ぐらを掴む。
「十年前、お前は我が母を斬った」
「燦王よ。お前の母、蘇芳姫は久靄家から日紫喜に嫁いだ姫。あの小生意気な香宵の従姉だ! 二人で結託し、我が十六夜が王となるのを阻んだ。だから斬ったのだ!」
「……十六夜是誓、俺はお前を許さない! 日紫喜から后を、俺から母を、そして一葉から香宵姫を奪った。たとえ天が赦しても、王が赦さぬ!」
「王といっても、主家の一つである日紫喜家の当主に過ぎぬ。すべてに勝るのは天意だ。さあ一葉よ、早く祭壇で天に許しを乞うのだ!」
目を見開いた祖父の隣で、燦の手にある火輪剣が火を噴いた。
一度天に向けられた剣先が、怒りに任せた燦の手によって、祖父の首元に振り下ろされる。
兄の子は確かに三人とも男児である。それが、十六夜が天から受けた罰によるものだとは知らなかったが。
主家から追われた十六夜が日紫喜に嫁ぎ、王家に血を残すことを避けるための呪いではないだろうか。
祖父は何を言いたいのか――汲み取れずにいると、祖父の目に月が映ってギラリと光った。
「儂は天意を尊重し、女であるお前のことも男として育てた。十六夜は日紫喜家に対し、后を輩出する意図はないという恭順の証だ。十年前の償いは、お前がしっかりとやってくれたよ」
「そ、そんな馬鹿なこと……」
祖父と父の犯した罪を、なぜ一葉が代わりに償わなければならないのか。
燦の母、蘇芳姫を殺めたのは一葉ではない。
一葉の母、香宵姫のこともそうだ。
(十六夜の罪を、なぜ私が――いや、違う)
一葉も十六夜家の一員なのだ。
天から宝物を授かる代わりに、主家は綺羅の安寧を守る責を負う。
天や他の主家から見れば、祖父と一葉も同じ十六夜。
祖父や父が罪を償うのではない。十六夜が償うのだ。
一葉は、罪を免れない。
「一葉! しっかりしろ!」
かき乱された一葉の心に、燦の声が響く。
燦はいつもこうだ。内なる世に閉じこもり、我を忘れそうになった一葉を、現世に引き戻してくれる。
燦は膝を突き、祖父の胸ぐらを掴む。
「十年前、お前は我が母を斬った」
「燦王よ。お前の母、蘇芳姫は久靄家から日紫喜に嫁いだ姫。あの小生意気な香宵の従姉だ! 二人で結託し、我が十六夜が王となるのを阻んだ。だから斬ったのだ!」
「……十六夜是誓、俺はお前を許さない! 日紫喜から后を、俺から母を、そして一葉から香宵姫を奪った。たとえ天が赦しても、王が赦さぬ!」
「王といっても、主家の一つである日紫喜家の当主に過ぎぬ。すべてに勝るのは天意だ。さあ一葉よ、早く祭壇で天に許しを乞うのだ!」
目を見開いた祖父の隣で、燦の手にある火輪剣が火を噴いた。
一度天に向けられた剣先が、怒りに任せた燦の手によって、祖父の首元に振り下ろされる。

