「お祖父様、それに父上! 十六夜家は十年前、火輪剣を奪って王位を簒奪しようと謀り、あろうことか后である蘇芳姫を弑した。その罪を認め、未来永劫償い続けること。それが天から与えられた十六夜の責務ではないのですか?」
燦の手を放し、一葉は主家の当主の側まで進む。
気が付けば、各主家の当主たちも祭壇の周りを取り囲むように集まっている。無言で視線を交わし合い、祖父や父が隙を見せるのを待っている。
綺羅ノ国の主家に与えられた定めは、陽主・日紫喜家を王として、諍いを起こさず国を平穏に導くこと。その和を破ったばかりか、后を手に掛けた者が目の前にいる。
当主たちも、十六夜の愚行を止めるためにようやく立ち上がったのだ。
(和暮家のご当主様が威風の才を使ってくれたら、十六夜の罪を暴ける!)
花緒の才のおかげで、一葉は記憶を取り戻すことができた。花緒曰く、お腹にいる前王との子が助けてくれたのだというが、これ以上花緒に才を使わせるのは危ない。
一方、和暮の当主は、花緒よりも強い才を持っている。
これまで、和暮家には十六夜の息がかかっていると思い、頼ることができずにいた。
しかし、状況は変わった。
和暮家当主が、ここにいる者たちの十年前の記憶を思い出させてくれたなら、十六夜が十年前に起こした罪を明らかにできる。
祖父と父に、償いの道を与えられる。
「久遠、馬鹿なことを言うなと、何度言わせれば分かるのだ」
「私は、久遠ではありません。十六夜一葉です! お祖父様から男装を強いられた、十六夜の姫です!」
その場にいる者たちの視線が、一葉に集まってくる。
「まさか……お前、和暮の威風の才を使ったのか?」
「はい。久靄の霧中の才によって隠された記憶を、威風の才で打ち消して取り戻しました。私が本当は十六夜一葉であることも、そしてお祖父様たちが十年前に大罪を犯したことも!」
祖父は黙り込んだ。その場は膠着する。
月影の石を手に入れたい祖父、絶対に渡さないと言う一葉。
周りを取り囲む主家の当主や衛士たちも、祖父の手に火輪剣がある限り、下手には動けない。
(火輪剣を取り戻すには、どうしたら……)
しばしの沈黙の後、一葉の背後から、女の声がした。
「……燦、一葉?」
花緒の声だ。
燦の手を放し、一葉は主家の当主の側まで進む。
気が付けば、各主家の当主たちも祭壇の周りを取り囲むように集まっている。無言で視線を交わし合い、祖父や父が隙を見せるのを待っている。
綺羅ノ国の主家に与えられた定めは、陽主・日紫喜家を王として、諍いを起こさず国を平穏に導くこと。その和を破ったばかりか、后を手に掛けた者が目の前にいる。
当主たちも、十六夜の愚行を止めるためにようやく立ち上がったのだ。
(和暮家のご当主様が威風の才を使ってくれたら、十六夜の罪を暴ける!)
花緒の才のおかげで、一葉は記憶を取り戻すことができた。花緒曰く、お腹にいる前王との子が助けてくれたのだというが、これ以上花緒に才を使わせるのは危ない。
一方、和暮の当主は、花緒よりも強い才を持っている。
これまで、和暮家には十六夜の息がかかっていると思い、頼ることができずにいた。
しかし、状況は変わった。
和暮家当主が、ここにいる者たちの十年前の記憶を思い出させてくれたなら、十六夜が十年前に起こした罪を明らかにできる。
祖父と父に、償いの道を与えられる。
「久遠、馬鹿なことを言うなと、何度言わせれば分かるのだ」
「私は、久遠ではありません。十六夜一葉です! お祖父様から男装を強いられた、十六夜の姫です!」
その場にいる者たちの視線が、一葉に集まってくる。
「まさか……お前、和暮の威風の才を使ったのか?」
「はい。久靄の霧中の才によって隠された記憶を、威風の才で打ち消して取り戻しました。私が本当は十六夜一葉であることも、そしてお祖父様たちが十年前に大罪を犯したことも!」
祖父は黙り込んだ。その場は膠着する。
月影の石を手に入れたい祖父、絶対に渡さないと言う一葉。
周りを取り囲む主家の当主や衛士たちも、祖父の手に火輪剣がある限り、下手には動けない。
(火輪剣を取り戻すには、どうしたら……)
しばしの沈黙の後、一葉の背後から、女の声がした。
「……燦、一葉?」
花緒の声だ。

