パチパチという火薬の音が弾けては消える。
シキとサトルは、手元の花火を見つめながら、くだらない冗談を言い合って心底楽しそうに笑っていた。
少し離れた暗がりから、俺はアルミ缶の冷たい表面を指でなぞりながら、その光景をただ静かに観察していた。
……あんなにも無防備で、完全にリラックスしたシキの表情を引き出せるのは、間違いなくサトルの役割であり、彼だけが持つ絶対的な『特権』だと思う。
(……幼馴染、か)
自分にそう呼べる存在はいるだろうか。
……父親の教会で、幼い頃から一緒に過ごした同年代の人間は何人かいる。けれど、通う学校も、趣味も、見ている世界も何もかも違っていて、正直なところ本当にただ『同じ共同体に所属する人間』という、ひどく無機質な距離感でしかなかった。
そこには、今のシキとサトルの間にあるような、理屈を超えた絶対的な文脈は存在しない。

