須賀は突然頼まれた『幹事』役に驚いたようだったが、麗を紹介すると「ひとりじゃないなら……」と引き受けてくれた。
須賀には参加者への声掛けをお願いすることにした。
メンバーに選んだのは、睦美が私のせいにして振った男子たちと、『取り巻き』だと影で言っていた女子たち。その中でも睦美の嘘を信じて私を嫌い、すれ違うだけで文句を言うような人たちを厳選した。
次に、会場選びに取り掛かった。
初めは続きの個室を探していた。だが大人数ゆえの音漏れはどうする?
睦美は他人が近くにいると知れば警戒して仮面を外さない。であれば、個室が独立した場所にあることが優先か――麗と、ああでもないこうでもないと案を出し合い、候補を持ち寄っては確認に行った。
イメージはこうだ。
・別のフロアで始まる合コン
・個室で睦美と対峙
・プロジェクターには睦美の姿、スピーカーから音声を流す
・睦美の本性を暴いたら、個室へ誘導!
――ただ、そううまい具合に事が運ぶのか、不安は尽きなかった。
しかも睦美をその店へ誘い出す方法がまだみつかっていなかった。
計画を練っているとふいに麗が聞いてきた。
「むーちゃん、光里って子知ってる? 睦美の友達らしいけど」
「顔と名前だけは知ってるかな、外進の子で」
大学生になって睦美が最初に選んだ友人たちを脳裏に浮かべて答えた。
「華やかな感じだよ。一緒にいる友達も似たような子たちで、目立ってたはず」
睦美は周りに『自分と釣り合う子』しか置かない。
そんな睦美が彼女たちに声を掛けたのはある意味、当然のことだ。
「須賀君ともちょっと繋がってて、この前紹介されたんだけど」
「ああ、うん」
睦美の友達なら、当然須賀とも顔見知りだろうと、頷く。
「その子が言うには、来週の金曜日に睦美が《《今狙ってる男》》とデートらしいんだ」
「!」
……狙ってる?
……それって、アオくんのこと、だよね?
私の心臓が嫌な感じに軋んだ。
「光里ちゃん、そっちとも繋がってるみたいで」
「!」
「でさ、光里ちゃんにお願いしてみるのはどうかな、と思って」
「お願いって……?」
「睦美の相手に、嘘の時間と場所、伝えさせるの! で、相手の男にも別室で睦美の本性見せようよ」
……アオくんにも、見せる?!
……でも、
「光里ちゃんって睦美の友達だよ、そんなこと協力してくれるかな?」
「それがね、そうでもないみたいなのよ」
「どういうこと?」
「睦美に好きな男取られたらしいんだ。睦美にひとめ惚れしたらしいよ」
「うわあ……」
他人事に思えず、心が曇る。
「それで、睦美に一泡吹かせたいんだって」
「わかるよ、その気持ち――じゃあ、その日にしよう!」
……アオくんにも伝えられる! 睦美の本性を。
「よし! 決まり」
麗が親指を立てた。
そこからは、本格的に会場探しに奔走した。
そうして数日後、“ここしかない!”というほど条件に合ったダイニングカフェを麗がみつけてくれた。
理想通り、個室とパーティ会場が離れていて、トイレや洗面所も別々に設けられている。しかもパーティ会場にはプロジェクターが元々設置してあり機材も揃っていた。手持ちのビデオと繋げられるし、買い足すのはラベリアマイクぐらいで済みそうだった。だから惜しみなく、貯めていたお金で個室とパーティ会場を貸し切った。
私たちは、復讐計画が完璧に成功するよう打ち合わせと確認を入念に行った。

