千回目のあなたへ 〜十七の夏、迎えにきたのは神様でした〜

 ふっと瞼を開けると、そこは見たことのない天井だった。

 古い木目の天井。薄く開いた障子の向こうから、やわらかな光が差し込んでいる。広い和室に敷かれた布団は驚くほどやわらかく、掛け布は肌に触れるたび、さらりとなめらかだった。

 ここは!?

 ガバッと半身を起こした瞬間、自分の服が変わっていることに気づいた。

 濡れていたはずの制服ではない。代わりに、白い寝間着のようなものが体を包んでいた。
 薄くて軽い布地の袖口には、小さな桜の刺繍が入っている。

 誰が、着替えさせてくれたんだろう。

 そう思った瞬間、頭の奥に断片的な記憶がよぎる。

 深い水の中。
 月光と花びらの中を、紅い瞳の男がしずかに舞い降りてきて——。

 ゆっくりと立ちあがろうととした、そのとき。

 にゃあん。

 小さな鳴き声がした。

 音の方へ視線を向けると、部屋の隅に白猫がちょこんと座っていた。

 艶やかな白い毛並み。
 尾と耳の先だけがほのかに桜色で、額には薄紅の桜紋が浮かんでいる。

 「目が覚めた?」

 障子がゆっくりと開いた。