千回目のあなたへ 〜十七の夏、迎えにきたのは神様でした〜

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 朱里にも京介にもバレないくらいの音で、小さく舌打ちをする。

 ——うっっっっっざ。

 よりによって、ふたり乗り?

 あの子と、京介が?

 ——朱里が来るまでは。

 京介の隣も、女子たちの中心も、男子たちの視線も、ぜんぶあたしのものだった。

 なのに、あの子が東京から越してきた途端、なに?

 ちょっと顔がいいからって、男子たちもみんな鼻の下伸ばしちゃって。
 家の周りの人たちまで、「千歳の本家のお嬢さんが、帰っていらしたのね」って、お祭りの巫女役の話まで蒸し返してきて。

 でもお父さんは「もうすぐ、あの本家は終わる」って言っていた。

 おばあちゃんが死ねば、うちが千歳家の権力を握る。だから、お父さんもお母さんも、おばあちゃんには手を貸さないらしい。

 「雛乃ちゃん。千歳家を背負うのはあなたよ」

 何度もそう言われて育ってきた。

 あと、もう少し。

 あの子はいずれ、東京に逃げ帰る。おばあちゃんの手術費だって、払えるはずがない。

 そのとき、京介の隣には、ちゃんと、あたしだけがいる。

 大丈夫。

 あたしは、ずっと、この町の中心だから。

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