千回目のあなたへ 〜十七の夏、迎えにきたのは神様でした〜


 ***

 自室に戻った瞬間、雛乃はクッションを壁に叩きつけた。

 「何とかしろって、簡単に言わないでよ……!」

 むかつく。
 むかつくむかつくむかつく。

 どうして朱里なの。

 少し前まで、学校にも町にも居場所なんてなかったくせに。
 今は桜小路緋桜に守られて、奉納祭の巫女までやろうとしている。

 気に入らない。
 あまりにも、気に入らない。

 「どうにかしたいに決まってるじゃん」

 でも、学校でまた仕掛けるのは危ない。

 久遠神社も、桜小路家も関わっている。分家の娘でしかないあたしが正面から動けば、すぐにばれる。

 朱里本人には、緋桜がついている。

 ――もう巫女装束まで用意しているって聞いたわ。

 ママの言葉が、ふっと頭の中でよみがえった。

 巫女装束。
 奉納祭の朝、朱里が袖を通すはずのもの。

 そうか。だったら、朱里じゃないところを狙えばいい。

 どれだけ緋桜に守られていても、装束がなければ巫女にはなれない。

 「……いいこと、思いついちゃった」

 唇の端を上げ、ゆっくりとスマホのメッセージ画面を開いた。