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自室に戻った瞬間、雛乃はクッションを壁に叩きつけた。
「何とかしろって、簡単に言わないでよ……!」
むかつく。
むかつくむかつくむかつく。
どうして朱里なの。
少し前まで、学校にも町にも居場所なんてなかったくせに。
今は桜小路緋桜に守られて、奉納祭の巫女までやろうとしている。
気に入らない。
あまりにも、気に入らない。
「どうにかしたいに決まってるじゃん」
でも、学校でまた仕掛けるのは危ない。
久遠神社も、桜小路家も関わっている。分家の娘でしかないあたしが正面から動けば、すぐにばれる。
朱里本人には、緋桜がついている。
――もう巫女装束まで用意しているって聞いたわ。
ママの言葉が、ふっと頭の中でよみがえった。
巫女装束。
奉納祭の朝、朱里が袖を通すはずのもの。
そうか。だったら、朱里じゃないところを狙えばいい。
どれだけ緋桜に守られていても、装束がなければ巫女にはなれない。
「……いいこと、思いついちゃった」
唇の端を上げ、ゆっくりとスマホのメッセージ画面を開いた。


