千回目のあなたへ 〜十七の夏、迎えにきたのは神様でした〜


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 布団に入っても、眠気は来なかった。
 緋桜さんの言葉が、何度も頭の中を巡っている。

 わたしは、初音さんの生まれ変わり。
 そして緋桜さんは、その魂を追ってきた。

 そういえば、七姫が前に貸してくれた漫画にも、前世の記憶を持つ主人公が出てきた。

 その子は、好きだった人と再会した瞬間にすべてを思い出して、迷わず抱きしめ合っていた。
 前世も今世も同じ気持ちで、何の疑いもなく幸せになっていた。

 でも今のわたしは、前世の記憶を夢で見たからといって、気持ちをすぐに整理できるわけじゃない。

 初音さんが緋桜さんを大切に思っていたことは、分かる。
 そしてそれはきっと、緋桜さんも同じ。

 だからこそ思ってしまう。

 ずっと君に会いたかった、と。
 ずっと君を探していた、と。

 その「君」は、本当にわたしだったのだろうか?

 本当は——

 そう思った瞬間、胸の奥に小さな棘が刺さった。

 目を閉じると、これまでのことを思い出してしまう。
 
 朱里、と呼ばれたときの優しい声。
 わたしのために怒ってくれた横顔。

 好きなものを好きと言っていいと、教えてくれた夜のこと。

 気づきたくない。
 それなのに、思ってしまった。

 緋桜さんが見ているのが初音さんではなく、今のわたしだったらいいのに、と。