千回目のあなたへ 〜十七の夏、迎えにきたのは神様でした〜


 その夜の月は、特に明るかった。

 「また、会えますか?」

 白い巫女装束をまとった少女が、桜の下でそっと顔を上げる。

 腰まで届く黒髪が夜風に揺れ、伏せがちな瞳には月明かりが滲んでいた。
 儚げで、今にも桜の影に溶けてしまいそうなのに、その声だけはまっすぐだった。

 少女の声に応えるように、頭上の桜がざあっと揺れる。
 枝の上では、紅い瞳の男がこちらを見下ろしていた。

 白に近い銀の髪は肩に届くほどの長さで、風を含んでふわりと揺れている。
 毛先だけが、桜の花びらを溶かしたような淡い桃色に染まっていた。

 「ああ。必ず」

 ーーこの世界には、本物の神様がいる。