カメラを構えて柔らかく笑う僕と、その隣で僕の腕に寄り添う葵。
スケッチブックの水彩画だったものが、何層もの油絵の具によって、より深く、より鮮やかに、まるで永遠の命を吹き込まれたかのように描き直されていた。
絵のタイトルは、——『約束』。
「……気に入って、くれた?」
背後から、鈴の鳴るような、だけど少し大人びた声がした。
振り返ると、そこに彼女が立っていた。
髪は少し伸びて肩にかかり、シンプルな白いシャツを着ている。
だけど、その真っ直ぐで澄んだ瞳は、あの高校三年生の春の日のままだった。
「葵……」
「久しぶり、蓮くん。ちゃんと、待っててくれたんだね」
葵はいたずらっぽく笑った。
だけど、その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
