涙で視界が歪む中、僕は油絵の裏に添えられていたスケッチブックを引っこ抜き、最後のページをめくった。
ページが開かれた瞬間、僕は声を出して泣いた。
そこには、一面に広がる満開のひまわり畑の真ん中で、カメラを構えた僕と、その隣で僕の腕に満面の笑顔で寄り添う葵の姿が、鮮やかな水彩で描かれていた。
あの八月の小旅行の時には、絶対に起こり得なかった、二人だけの未来のプロット。
そして、絵の隅には、彼女の丸っこい文字で、こう書き添えられていた。
——『いつか、この絵みたいに、また隣で笑い合える日まで。待っていてくれますか?』
秋の乾いた風が、駅のホームを吹き抜けていく。
僕は、葵が描いてくれたひまわりの黄色を抱きしめるように、強く、強くスケッチブックを胸に押し当てた。
「待ってるよ……当たり前じゃんか、馬鹿」
涙は一向に止まらなかったけれど、僕の胸の奥には、あの夏の太陽のような温かい光が、確かに灯り続けていた。
僕たちの青春は、ここで一度離れ離れになる。
だけど、この痛みは、いつか再び交わるための約束の証だった。
