刻の輪廻で君を守る

***

 ピピッ、ピピッ、ピー!



 うーん……もう、時間なのかなぁ?



 リーンゴーンリーンゴーン……



 遠くで、鐘の音が鳴っている。という事は、もう朝の7時になったってこと。

 お布団の中、あったかくて出るのは少し勇気がいるから、ちょっと、ウーンって伸びをしてみる。



 ピピピッ



「今日も朝から元気だねー、フィッチは。ふふ、起こしてくれて、ありがとー!」



 どういたしまして、とでも言うようにフィッチはもう一鳴きして応えてくれた。



「はい、ミリー。これがお弁当ね。忘れないようにしなさい」

「はーい、お母さん。お母さんのサンドウィッチ、とっても美味しくて楽しみだよー」

「それは良かったわ。作りがいがあるもの。だからミリーも頑張ってね」

「うん、頑張って行ってくるねー」

 お母さんにそう挨拶して、サンドウィッチの入ってるお弁当箱をカバンに入れてから、玄関の扉を開ける。

 ミリーのお家の前、学校のある町の中心街行きの辻馬車の乗り場で待っていてくれているのは、ミリーの大切なお兄ちゃんとお姉ちゃん。

「今日は学校のある日なのね、ミリー。どう? 特別学校で分からないところとかあったら教えてあげるから言ってね」

「うん、ありがとー、レイチェルお姉ちゃん! 今のところ、先生がとーっても優しく教えてくれるから大丈夫だよー。この前の成績表も良かったよ、て褒めてくれたしー」

「……しかし、学校に行くのは隔日で、行かない日は自宅で自習なのにそれで授業についていけてるのは流石だな、ミリー」

「ふふーん、流石は私の妹だもの」

「いや、それでレイチェルが得意がる理由がわからん」

「なんでよ? 私たちのミリーが優秀なんだから、ここは自慢するところでしょー!?」

「それは、ミリー自身がスゴいのであって俺たちは関係なかろーて……」

「もう! アッシュはああ言えばこう言う。もっと素直にミリーの成績を褒めたげなさいよ」

「まあまあ、二人ともー。ケンカはやめて欲しいのですー」

 また言い合いになりそうなので声をかけると、二人は一瞬、互いに見合ってすぐに口をつぐんだ。



 この二人は、とっても仲良しさんだから、よくこんな風に言い合いになってしまうのです。



 ミリーのお家は、あまり裕福じゃないので、特別学校の奨学生として授業料は免除してもらえたのだけど、毎日の辻馬車の交通費までは大変だったのでお父さん、お母さんと相談して学校には週3日だけ行くことにしてるのです。

 なので、行けない日はお家でお勉強。

 でも、こうして週3日も中心街に行けるのはとっても楽しいのです。



 今日も、学校、楽しみだなー。








 朝からの授業は国語に社会に数学。

 国語や社会は得意なんだけど、数学はちょっと難しいのですー。

 休み時間、さっき先生が教えてくれた解き方を、もう一度、ノートに鉛筆で書いていたら、

「ミリーちゃん、すごいねぇ。休み時間なのにさっきの授業の復習をしてるんだ!?」

 と、声を掛けてきたのは同じクラスのエルサちゃん。

 銀髪の長髪を一本のお下げに編み込みして左肩から垂らしている。まつ毛も長くて碧眼に似合ってる。ほんと、すっごく綺麗な女の子。

 確か、お家はこの中心街にあってガイウス商社にお父さんは勤めてるんだったかなー?

 そこまで思い出したところで、エルサちゃんはミリーのノートを覗き込んできた。

「わ、こんなに丁寧にノート、取ってたんだ!? ね、良ければこのノート、貸してくれないかな? この前のテストでちょっと赤点になってパパに怒られたのよねー」

「うん……また返してくれるなら、いいよー」

「ありがと! じゃあ、早速借りるね!」

「あ……」

 まだ書いてる途中だったのに、エルサちゃんはミリーのノートを持って行ってしまった。そして友達たちと、何やらこっちを見ながらニコニコしている。

 そんなに、この前のテストが大変だったのかなー? じゃあ、ミリーのノートが少しでも役に立つといいね!

 数学の復習はまた明日、お家ですることにしよう。もう一度、今日の先生の説明が書けるか、教科書を見ながら頑張ってみるね、うん。

 ミリーは友達にとっても良いことをしたのです。







 お昼休みはレイチェルお姉ちゃんと約束をしていたので町の中心の大広場のテラス席で待っていると、黒い法服姿のレイチェルお姉ちゃんが駆けてきた。

「ごめんねー、ちょっと待ったかな、ミリー?」
「ううん、全然だよー。レイチェルお姉ちゃんは何をお昼に買ってきたのかな??」

 そう、レイチェルお姉ちゃんに聞くと、お姉ちゃんはニコニコして、その袋の中身を見せてくれた。

「へへへー、最近だとこのマロンのバターサンドが美味しいって評判なのよ。ミリーの分も買ってきたから、どーぞ」
「ありがとー、レイチェルお姉ちゃん!」

 お母さんのサンドウィッチを食べて、お茶しながらレイチェルお姉ちゃんの買ってきたバターサンドも頂く。

 あ、これ、マロンがとっても美味しいのですー。

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