「さっきの子、何?」
先輩は、校門を出たところで僕に尋ねた。
誰じゃなくて何。
先ほどまでの爽やかな雰囲気と打って変わって不機嫌な様子で、僕は何が気に障ったのだろうかと、びくびくしながら言葉を返す。
「メロちゃんのことですか?」
「メロちゃん? 随分仲が良いんだな」
「いえ、あの子が変わってるんです。ギャルなのに僕みたいなのとも喋ってくれるし、同じ少女漫画好きで。僕、周りに少女漫画が好きなこと隠してるから、唯一の話し相手なんです」
「ふーん。理人が少女漫画好きで漫画家になりたいことなら俺も知ってるし、話し相手になれると思うんだけど」
僕は隣を歩く先輩の、むすっとした表情を見て「え?」と思う。
――もしかして、先輩妬いてる? って、そんなわけないか。
きっとこれも、役作りの一環だ。
「すごいですね」
「何が?」
「マルロー様の時と全然キャラが違って、子どもっぽいというか……等身大の恋するDKって感じがします」
「あー、そうかも?」
先輩は頭を掻きむしり、「なんか恥ずかしいな」と呟いた。
自信家なのに、ヒロインの前だと余裕がなくなったり照れたりするヒーローも美味しいなぁ、と僕は早速心のノートにメモをする。
「理人はやっぱ、マルローみたいな大人の男が好き?」
子どもっぽいと言われたからか、先輩は突然僕の好みを聞いてきた。
マルロー様は確かにかっこ良かったけど、僕は別に、大人っぽい人が好きなわけではない。
「漫画のキャラだと、性格はどうあれ一途な人が好きです」
深いことを考えずにそう言うと、先輩は真面目なトーンで答えた。
「ふぅん。その点なら俺はクリアかな」
「それってどういう……」
「一途ってこと」
先輩はふっと笑みをこぼして、僕の髪をくしゃっと撫でる。
何という破壊力。
息を吐くようにヒーロームーブを繰り出す先輩が怖い。
「どうした?」
「いえ、何でもないです」
つい立ち止まってしまった僕は、心臓がドキドキするのを感じながら、小走りに先輩の後を追った。
◆
先輩は、校門を出たところで僕に尋ねた。
誰じゃなくて何。
先ほどまでの爽やかな雰囲気と打って変わって不機嫌な様子で、僕は何が気に障ったのだろうかと、びくびくしながら言葉を返す。
「メロちゃんのことですか?」
「メロちゃん? 随分仲が良いんだな」
「いえ、あの子が変わってるんです。ギャルなのに僕みたいなのとも喋ってくれるし、同じ少女漫画好きで。僕、周りに少女漫画が好きなこと隠してるから、唯一の話し相手なんです」
「ふーん。理人が少女漫画好きで漫画家になりたいことなら俺も知ってるし、話し相手になれると思うんだけど」
僕は隣を歩く先輩の、むすっとした表情を見て「え?」と思う。
――もしかして、先輩妬いてる? って、そんなわけないか。
きっとこれも、役作りの一環だ。
「すごいですね」
「何が?」
「マルロー様の時と全然キャラが違って、子どもっぽいというか……等身大の恋するDKって感じがします」
「あー、そうかも?」
先輩は頭を掻きむしり、「なんか恥ずかしいな」と呟いた。
自信家なのに、ヒロインの前だと余裕がなくなったり照れたりするヒーローも美味しいなぁ、と僕は早速心のノートにメモをする。
「理人はやっぱ、マルローみたいな大人の男が好き?」
子どもっぽいと言われたからか、先輩は突然僕の好みを聞いてきた。
マルロー様は確かにかっこ良かったけど、僕は別に、大人っぽい人が好きなわけではない。
「漫画のキャラだと、性格はどうあれ一途な人が好きです」
深いことを考えずにそう言うと、先輩は真面目なトーンで答えた。
「ふぅん。その点なら俺はクリアかな」
「それってどういう……」
「一途ってこと」
先輩はふっと笑みをこぼして、僕の髪をくしゃっと撫でる。
何という破壊力。
息を吐くようにヒーロームーブを繰り出す先輩が怖い。
「どうした?」
「いえ、何でもないです」
つい立ち止まってしまった僕は、心臓がドキドキするのを感じながら、小走りに先輩の後を追った。
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